函館市議会 > 2020-12-09 >
12月09日-03号

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  1. 函館市議会 2020-12-09
    12月09日-03号


    取得元: 函館市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-12-23
    令和 2年第4回12月定例会         令和2年第4回函館市議会定例会会議録 第3号  令和2年12月9日(水曜日)            午前10時00分開議                            午後 4時39分散会========================================〇議事日程日程第1 一般質問──────────────────────〇本日の会議に付した事件 議事日程と同じ──────────────────────〇出席議員(27人)        1番 工 藤 恵 美        2番 吉 田 崇 仁        3番 浜 野 幸 子        4番 遠 山 俊 一        5番 金 澤 浩 幸        6番 茂 木   修        7番 松 宮 健 治        8番 小野沢 猛 史        9番 工 藤   篤       10番 市 戸 ゆたか       11番 富 山 悦 子       12番 板 倉 一 幸       13番 小 山 直 子       14番 斉 藤 佐知子       15番 福 島 恭 二       16番 藤 井 辰 吉       17番 出 村 ゆかり       18番 山 口 勝 彦       19番 中 山   治       20番 池 亀 睦 子       21番 小 林 芳 幸       22番 荒 木 明 美       23番 紺 谷 克 孝       24番 島   昌 之       25番 日 角 邦 夫       26番 見 付 宗 弥       27番 道 畑 克 雄──────────────────────〇説明員    市長     工 藤 壽 樹    副市長    谷 口   諭    副市長    平 井 尚 子    企画部長   湯 浅 隆 幸    総務部長   小山内 千 晴    財務部長   小 林 利 行    市民部長   佐 藤 聖智子    保健福祉部長 大 泉   潤    子ども未来部長           佐 藤 ひろみ    経済部長   柏   弘 樹    観光部長   柳 谷 瑞 恵    農林水産部長 川 村 真 一    土木部長   岡 村 信 夫    都市建設部長 佐賀井   学    南茅部支所長 松 浦 眞 人    教育長    辻   俊 行    教育委員会生涯学習部長           堀 田 三千代    教育委員会学校教育部長           松 田 賢 治──────────────────────〇事務局出席職員    事務局長   手 塚 祐 一    事務局次長  深 草 涼 子    議事調査課長 宮 田   至======================          午前10時00分開議 ○議長(工藤恵美) おはようございます。 ただいまから本日の会議を開きます。────────────────────── ○議長(工藤恵美) 日程第1 一般質問を行います。 発言の通告がございますので、順次これを許します。17番 出村 ゆかり議員。  (出村 ゆかり議員質問席へ着席)(拍手) ◆(出村ゆかり議員) おはようございます。 市政クラブの出村 ゆかりでございます。 通告のとおり、市長に大綱3点、順次質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、大綱の1点目、行財政改革の推進についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症が依然として猛威を振るっております。私たちの日常生活をはじめ、社会活動などにおいても多大な影響を及ぼし、とりわけ経済への影響は甚大でして、本市においても、事業者の皆さんの生の声として本当に厳しい状況だということを私も聞いております。まさに激動の1年でありました。 また、この間、市では新型コロナウイルス感染症に関しまして、緊急対策として第5次にわたり補正予算を編成し、市民や事業者に対して様々な取組を進めております。この新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、新年度の予算編成作業も始まっていることと思いますが、コロナ禍の影響による税収の減少、それから国勢調査結果における人口減少による地方交付税の減額も見込まれ、非常に厳しい予算編成を強いられるのではないかと思っております。 市では、これまでも工藤市長の下、行財政改革を推進し、健全な財政運営に取り組んできましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、より一層の行財政改革も求められるのではないかと考えております。 そこで、今回は、これまでの行財政改革の取組も確認させていただきながら、今後の展開や見通しなどについて質問していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 まず、初めにお伺いしますが、函館市行財政改革推進プラン、こちらの進捗状況はどのようになっていますでしょうか。そして、これまでの効果、成果は市としてどのように捉えているのか、お聞かせください。 ◎総務部長(小山内千晴) 行革プランの進捗についてのお尋ねでございます。 現行プランにつきましては、人口減少に伴い、将来の正規職員数や歳出規模の縮小は避けられないことから、持続可能な行財政運営の確立を目指し、平成29年度から令和3年度までの5年間を計画期間として職員の能力向上や業務改善による効率性の向上、組織機構や職員数の見直し、徹底した事業の見直しや経常経費の削減などの取組を推進しているところでございます。 進捗状況につきましては、令和2年度までの4年間におきまして職員削減数及び財政対策額が計画を上回るなど、おおむね順調に推移してございまして、公共施設の統廃合や正規職員の採用数抑制によりまして将来負担の軽減も図られ、一定の成果が出ているものと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 職員の削減ですとか、また財政対策額が計画を上回って推移していると。また、公共施設の統廃合や正規職員の採用の抑制によって将来負担の軽減も図られているということで、一定程度行財政改革プランには成果が出ているということですね。 次にお伺いしますが、新型コロナウイルス感染症によるこの影響、国勢調査結果による市の財政への影響について、こちらのほうはどのような認識がございますでしょうか、お聞かせください。 ◎財務部長(小林利行) 新型コロナウイルス感染症や国勢調査結果による財政への影響についてのお尋ねでございます。 まず、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、歳入面では企業収益や個人所得の落ち込みによる市民税の減少、さらには消費活動の落ち込みによる地方消費税交付金の減少などが想定されますほか、歳出面におきましても感染症対策地域経済活性化などにも取り組まなければならないなど、市財政全般に影響があるものと考えているところでございます。 また、国勢調査による人口減少の影響につきましても、普通交付税の算定上、国勢調査人口を基礎としている算定項目が多いことから、令和3年度以降の普通交付税が大幅に減少するものと想定しているところでございまして、これら新型コロナウイルス感染症や人口減少によりまして、これまでにも増して厳しい財政運営を強いられるものと認識しているところでございます。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 極めて厳しい財政運営となるというこの御認識は改めて確認できました。 現在のこの函館市行財政改革推進プランですけれども、2017年度から2021年度までとなっております。こういった厳しい財政運営を考えますと、来年度以降も引き続き行財政改革に取り組んでいくという必要があるとは思いますが、今後の行財政計画は、どのように進めていくのか、市のお考えをお聞かせください。 ◎総務部長(小山内千晴) 今後の行財政改革についてのお尋ねでございます。 今後も厳しい財政運営が想定される中、新たな行政課題への対応など、引き続き行財政改革に取り組んでいく必要があると考えておりまして、現行プランの計画期間後の令和4年度──2022年度以降につきましても、新たなプランを策定したいと考えておりまして、現在その作業、検討を進めているところでございます。 ◆(出村ゆかり議員) 分かりました。 市としても引き続き行財政改革に取り組む必要があるというお考えと、現行のプラン後──令和4年度以降も新たなプランを策定したいということで検討中ということは分かりました。市が今後も行財政改革に取り組むに当たりまして、私はデジタル化が、これはもう避けて通れない、必須であると思っております。 お伺いしますが、デジタル手続法が5月に策定されましたが、この趣旨や国におけるデジタル庁の設置なども踏まえまして、本市のこの行財政改革を進める上で行政手続のオンライン化、それから行政のデジタル化の推進が急務であると思いますけれども、市の認識をお聞かせください。 ◎総務部長(小山内千晴) 行政のデジタル化についてのお尋ねでございます。 行政のデジタル化の推進は、行政手続の利便性の向上と行政事務の効率性の向上を図るものでありまして、行財政改革を進めていく上で重要な取組であると認識してございます。 これまでも公共施設予約サービスやマイナンバーカードを活用したコンビニエンスストアでの住民票交付を導入したほか、来年度からは窓口における戸籍や税などの証明手数料のキャッシュレス決済の実施を予定しておりまして、さらには、現在国におきまして見直しを進めております行政手続のオンライン化を見据えた申請書や届出での押印廃止、住民記録や税などの基幹系システム業務プロセス情報システムの標準化につきましても、現在検討を進めているところでございます。 今後、国において地方自治体におけるデジタル化の指針等を年内に策定する予定でございますので、引き続き、国の動向やその内容を踏まえながら、本市における行政のデジタル化を推進してまいりたいと考えております。 ◆(出村ゆかり議員) 分かりました。 市としても行政のデジタル化推進行財政改革を進めていく上で重要だという認識がある。そしてまた、国の動向を踏まえながら本市の行政のデジタル化を推進していくというお考えは確認できました。 この項の最後の質問になりますけれども、行政のデジタル化を推進していくということですけれども、業務に精通するIT技術者ですとか専門職員の採用、こういったところ、組織体制の強化がさらに必要ではないかというふうに考えます。市の御見解をお聞かせください。 ◎総務部長(小山内千晴) 行政のデジタル化推進のための組織体制の強化についてのお尋ねでございます。 行政のデジタル化の推進につきましては、先ほど御答弁申し上げた取組に加えまして、オープンデータの推進やタブレット型パソコンの導入など、総務部の情報システム課が中心となって進めてきたところでありまして、また、昨年度にはAIやRPAなどICTを活用した業務改善を一体的に進めるため、行政事務AIICT化推進室を設置したところでございます。 今後におきましても、国主導の下、行政のデジタル化が加速するものと考えておりまして、本市といたしましても迅速かつ的確に対応できるよう、国の動向などを踏まえながら人材の育成・確保や組織体制の強化をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) デジタル化に関わるこの市の組織体制の取組、それから国の動向を踏まえながら人材の育成・確保、組織体制の強化を図るということですけれども、IT人材の不足が顕在化していく中、市の取組が後手後手に回るということはないように、デジタル化の推進に影響などが出ることないよう、十分に留意して取り組んでいただきたいと思います。非常に今、機運が高まっているときでありますから、ぜひとも積極的に取り組んでいただきたく強く要望しまして、この項を終わりにいたします。 次に、大綱の2点目です。新型コロナウイルス感染症による影響について何点かお伺いいたします。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症を理由とした差別、偏見、誹謗中傷、こういったことの現在の対策についてなど何点かお伺いします。 インターネット、SNS等で新型コロナウイルス感染症に関する様々な情報が流れています。中には事実に反するデマ情報、不確かな情報も含まれています。こうした中、新型コロナウイルス感染症と残念ながら闘っている患者の方、それから感染リスクを抱えながら医療行為を行っている医療関係者の方々、その家族に対する差別、偏見、誹謗中傷が、残念なことに日常的に行われている実態にあります。新型コロナウイルス感染症は今や誰がかかってもおかしくない病気であると思います。そして、相手を思いやる気持ちを持ちながら私たちは冷静に行動することが求められるところであります。そういう意味からも、公的機関が発信する正確な情報に基づき、冷静に行動し、デマ情報、不確かな情報に惑わされることのないよう、行政としても情報発信、周知啓発が必要だと思うところであります。 そこで、まず最初にお伺いしますが、新型コロナウイルス感染症を理由とした差別、偏見、誹謗中傷について、市としてどのような認識をお持ちでしょうか、お聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 感染を理由とした差別などについてのお尋ねですが、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会に設置された差別・偏見とプライバシーに関するワーキンググループが11月に取りまとめた報告では、感染が流行し始めた今年の2月頃から感染者や感染者の治療に当たってきた医療従事者やその家族等に関する差別的な言動や誹謗中傷が発生しており、正しい知識の普及や啓発の強化などが提言されているところです。 市としても感染者や対策に携わった方々への心ない言動などはあってはならないことと認識しており、また、そのことが保健所の調査に対する情報提供の拒否などにつながり、結果として感染拡大の防止に支障が出るおそれがあるものと危惧しているところであります。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 市の認識については分かりました。 では、新型コロナウイルス感染症を理由とした差別、偏見、誹謗中傷に対する市のお取組はどのようなものでしょうか、お聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 差別や偏見などを防止するための取組についてのお尋ねですが、市ではホームページ新型コロナウイルス感染症に関連する人権の配慮についてを掲載し、啓発を図っているほか、市内小・中学校に対し、新型コロナウイルス感染症を理由としたいじめや差別、偏見等の防止についてと題した家庭用の啓発チラシや北海道が作成した小学生向け及び中高生向けポスターを配付しているところであります。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 今、保健福祉部長から御説明のあったリーフレットというのはこれらのものですね。これは道が作成したもので、小学生向けのポスターです。配付した資料にもあるかと思います。資料2のほうです。これが中高生向け、一般も含むポスターですね。悩んだときは一人で悩まず相談してくださいといったことで相談先が書いてあります。 そしてまた、これは11月27日に函館市の教育委員会家庭用配付資料として学校に配付した資料でございます。全てA4、これもA4判なんですけども、拡大しました。これは私、今回初めて目にしたんですよ。恐らく全て小・中学生を対象にしているものになりますね。ですが、これはもう人権に関わる非常に重いものなんです。小・中学生やその家族のみのリーフレット配付だけで本当にいいのでしょうか。これは市民一人一人が重要な問題だと気づくことが必要ではないかと思います。人ごと、他人ごとではありません。我が事として捉えることが最も重要だと思うのです。 市として、差別、偏見、誹謗中傷を行わないよう、さらに周知徹底なども含めて、改めて私は対策を講じるべきと思いますが、市のお考えをお聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 今後の取組についてのお尋ねですが、国のワーキンググループが11月に取りまとめた報告では、先ほど申し上げました感染症に関する正しい知識の普及や啓発の強化に加え、相談体制の強化や個人情報の保護と蔓延防止に資する情報公表のバランスを取ることについて検討することを提言しておりますことから、国の議論や地域の実情などを踏まえ、今後におきましても、市のホームページはもとより広報紙やSNSなどを通じて新型コロナウイルス感染症に関する差別や偏見などの防止についてさらに呼びかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 分かりました。 それで、私は資料1のほうで配付させていただきました日本赤十字社新型コロナウイルス感染症対策本部作成の、この新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう、負のスパイラルを断ち切るためにというストーリーですね、全部で何ページあるんでしょう、すごいたくさんあるんです、20ページ近くあるんですけども、それを縮小して皆様のお手元には配付させていただいています。すごいかわいいウイルスが並んでいます。これはすごく非常に分かりやすいですね。かわいいだけじゃなくて、分かりやすいだけじゃなくて、だけどこの中には非常に心に刺さるメッセージが凝縮されています。日本赤十字社が作成したのは3月26日にこれは初版で出ておりまして、皆さん御存じかと思いますが、日本赤十字社の救護班は、日本での新型コロナウイルス感染症の初期段階で大きな話題となったクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号での集団感染において最前線で救護に当たっていたのも、この日本赤十字社の救護班の方々です。そういった経験を基にして作られた資料です。本当にこれは私は衝撃というか胸が詰まりました。今のこのウイルスだけの問題じゃなくて、心の問題ですとか社会全体の問題、それから感染してしまった後の問題、こういったことが全てこの中に記されています。こういったことも活用していただければなと思います。 感染した方々、その家族などに対する不当な差別、偏見、いじめ、誹謗中傷は、ひとたび発症しますと、先ほど部長もおっしゃったように、差別を恐れて疾病を隠す傾向が強まります。そして疑われる症状が出ても検査をためらってしまう。適切な治療が遅れてしまいますよね。そういったことが結果的に感染拡大を招かざるを得ないと思うんです。感染拡大のおそれがあるということです。そしてまた、医療従事者の方々も、インフラ従事者の方々、差別が起きてしまうと社会全体がストップしてしまうという、そういったことも念頭に置いて取り組んでいただきたいと思います。そして、ぜひ市民の方々にも、不安はあるかと思いますが、いま一度冷静に落ち着いて不確かな情報は拡散しない、差別発言に同調しない、不安をあおることは病気に対する偏見や差別を強めていることだということを広く知っていただくよう、改めて周知徹底をお願いします。これ以上傷つく人を増やさないためにも、部長、よろしくお願いいたします。 以上で、この項を終わります。 次に、コロナ禍における特定健康診査とがん検診への影響について何点か伺います。 他都市に比べまして平均寿命が短く、またがん死亡率の高い状況なども踏まえまして、市では市民の健康の維持増進に向けて、はこだて市民健幸大学を開校したほか、がん検診の受診勧奨や啓発活動などにも取り組んでいます。 しかしながら健康診断を実施している医療機関において、今般のこの新型コロナウイルス感染症への対応などのため、春先に健康診断が実施できず、その影響からか健康診断を申し込んでもしばらく先でなければ健康診断を受けられない状況になっています。第3波の感染拡大も続いておりまして、今後も健康診断への影響も心配されます。がん検診においても、進行性のがんの場合、発見が遅れることにつながることも危惧されます。今年健診を受けてないという方も結構いるかと思います。ということは、去年受けたとしても約2年間放置してしまったという結果にもなりかねませんので、そういったこともちょっと対応もお伺いしたいと思います。 昨年度までの特定健康診査の受診状況の推移はどのようになっているのか、お聞かせください。
    ◎市民部長(佐藤聖智子) 国民健康保険制度特定健康診査の受診状況についてのお尋ねでございます。 受診状況の推移につきまして、過去3年間の受診率で申し上げますと、平成29年度は30.8%、平成30年度は31.5%、令和元年度は29.6%となっており、昨年度は2月までは前年度を上回る状況でございましたが、3月に入りまして新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えが顕著となり、前年度より約2%減少しております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 約30%程度で推移しているということですね。 では、昨年度までのがん検診の受診状況の推移についてお聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) がん検診の受診状況についてのお尋ねですが、平成29年度と平成30年度の受診率を比較いたしますとほぼ横ばいとなっておりますが、令和元年度と平成30年度の比較では、胃がん検診で0.1%の増、肺がん検診で0.4%の減、大腸がん検診で0.4%の増、乳がん検診で0.2%の増、子宮がん検診で0.1%の増となっており、新型コロナウイルス感染症の影響により年度末の受診者が大きく下がったものの、トータルとしては若干ではございますが、受診率が上がったところでございます。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 状況については分かりました。 では、特定健康診査の受診勧奨に関しましてどのような取組を行っていますでしょうか。その効果ですとか成果をどのように捉えられていますか、お聞かせください。 ◎市民部長(佐藤聖智子) 受診勧奨の取組などについてのお尋ねでございますが、特定健康診査の受診率向上の取組といたしましては、対象者への無料受診券の送付、40歳、45歳、50歳の方への心機能、胃がんリスク糖尿病性腎症の追加検査の無料クーポン券の送付、受診促進キャンペーンの実施、未受診者への電話やはがきによる個別の受診勧奨を実施するとともに、けんしんカレンダーの全戸配布、商業施設や生命保険会社の協力によるチラシの配布などにより周知を図り、受診率の向上に努めているところでございます。 これらの取組により、徐々にではありますが、受診率は増加傾向にございまして、今後も引き続き受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 取組についての効果、成果についての受け止めは分かりました。 では、このがん検診の受診勧奨に関しまして、その取組、効果、成果についてもお聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) がん検診の受診勧奨の取組などについてのお尋ねですが、これまでがん検診の受診勧奨といたしましては、乳がん検診と子宮がん検診の初回年齢の方への無料クーポン券の発行、不定期受診者への啓発用リーフレットの郵送、生命保険協会や協会けんぽの協力による啓発チラシの配布、特定健康診査と同時受診が可能な日を明記したけんしんカレンダーの全戸配布、前年度大腸がん検診受診者への検査キットの送付などを実施しているほか、官民が連携して取り組んでおります函館・道南がん対策応援フォーラム、はこだて市民健幸大学においてがんに対する正しい情報の発信に努めております。 令和元年度においては、年度末の新型コロナウイルスの影響があったものの、受診率が前年度より微増しておりますことから、受診勧奨により市民の健康意識の醸成が図られたとともに、早期発見による寿命の延伸につながったものと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 取組状況及び効果として市民の健康意識の醸成、早期発見による寿命の延伸につながったものと捉えられているということは理解しました。 では、今年度の特定健康診査の受診状況についてお聞かせください。 ◎市民部長(佐藤聖智子) 受診状況についてのお尋ねでございますが、今年度は健診開始の6月から8月にかけて新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えが生じ、受診者数が前年度を下回っていたこともございまして、受診勧奨はがきを例年より1か月早い9月に送付したほか、これまでの受診促進キャンペーンに加えまして、早期受診を促すため、秋の早トクキャンペーンを9月から実施したところでございます。 これらの取組により、10月末までの特定健康診査の受診者は約6,200人、受診率で申し上げますと13.9%となり、前年同時期と比較いたしますと受診率は0.5ポイント増となっております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 前年度に比べて0.5ポイント、若干の増ということですね。 では次に、今年度のがん検診の受診状況についてお聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 今年度のがん検診の受診状況についてのお尋ねですが、今年10月までのがん検診の受診率でございますが、昨年の同月比で申し上げますと、新型コロナウイルス感染予防による受診控えの影響などにより、胃がん検診で0.2%の減、肺がん検診で0.1%の減、大腸がん検診で0.2%の減、乳がん検診で0.3%の減、子宮がん検診で0.1%の減と落ち込んでいる状況にございますが、実施機関において3密回避や検温、手指の消毒など徹底した感染予防対策を講じておりますことから、徐々に昨年度に近い受診率へと回復してきているところでございます。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 昨年9月までの受診者数に比べると大幅に受診者の減少があるという状況は理解しました。保険者というんですか、市町村健保ですとか国保ですとか協会けんぽ、共済組合とか様々ありまして、函館の市民全体の数値は拾えないかもしれないんですけれども、実際のところ健診の実施機関が、クリニックですとか病院がどのような状況か分からないという方が、やはりまだまだ多くいらっしゃると思います。感染予防対策を徹底しているんだよということももっと広く知ってもらうことも重要ではないかと考えます。受診者数が徐々に回復傾向にあるということですけども、やはりがんは早期発見、早期治療が求められることがありますので、受診の遅れがどのような影響を及ぼすのかというところを非常に心配しているところです。 先日、私、新聞においてドクターの寄稿で、来年は胃がんですとか乳がんの患者さんが増えるのではないかという記事を読みました。市としてこういった内容についてどのような見解がありますでしょうか、お聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 来年度の胃がん患者についてのお尋ねですが、新型コロナウイルス感染症による受診控えにより、胃がん等の発見の遅れから病気が進行するおそれがあるとの報道が見受けられるところでございます。 市といたしましても、がんの早期発見により多くの命を救うことができますし、実施機関においては徹底した感染予防対策を講じておりますことから、市民の皆様には自らの感染予防にも留意いただきながら健診を受診いただきたいものと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 現時点で来年実際どうなるのかということは、これは誰も分かりませんけども、コロナ禍にあっても安心して健診受診が可能であるということ、PRも含めて引き続き市としても受診勧奨を行っていただきたいと思います。 では、最後にお伺いしますが、特定健康診査、がん検診の受診が遅れる状況について、健診等の受診勧奨を行っている市としてどのようなふうに捉えられていますでしょうか。対応等もございましたらお聞かせください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 受診が遅れる状況についてのお尋ねですが、一部の実施機関において、新型コロナウイルス感染症対策等でやむを得ず健診の受診時期を遅らせるといった対応を取っていると伺っております。そのような対応を取られている実施機関においては様々な事情があろうかとは思いますが、市といたしましては、市民の受診機会が失われることがないよう、引き続き感染予防にも徹底の上、できる限り健診の実施をお願いしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 市のお考えは分かりました。 市民の健康の維持増進を図るためには、健康診断、がん検診の受診が重要な要素となりますので、新型コロナウイルス感染症の影響で難しい状況であると思いますが、ぜひ2本立てで適切に受診できるように取り組んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。 では、大綱3点目です。独り親世帯への支援についてお伺いします。 市では、子供の生活環境や家庭の実態を把握し、子供の貧困対策等に係る施策展開の基礎資料とするため、函館市子どもの生活実態調査を実施し、その報告書が平成30年3月にまとめられています。市では、これまでも子供・子育てに関する取組を進めてきていますが、生活実態調査を行った上で、そのエビデンスを基に施策を展開されているというところは評価するところであります。 今回は、独り親世帯に絞って、その支援の状況などについて確認させていただきながら、今後の取組についてもお聞きしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 では、まず初めに、本市の独り親世帯の世帯数、推移についてお伺いします。 ◎子ども未来部長(佐藤ひろみ) 独り親家庭の世帯の推移についてのお尋ねでございます。 独り親家庭の世帯数の把握につきましては、これまで市ではより実数に近いものとして児童扶養手当の受給資格を有する世帯数で捉えておりまして、この過去3年間の4月時点の推移を申し上げますと、平成30年では3,823世帯、平成31年では3,589世帯、令和2年では3,429世帯となっております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 世帯数の把握の考え方については分かりました。 では、独り親世帯、中でもシングルマザーの就労状況、収入の状況についてお聞かせください。 ◎子ども未来部長(佐藤ひろみ) 母子世帯の就労状況等についてのお尋ねでございます。 本市におきましては、子供の生活環境や家庭の実態を把握し、子供の貧困対策に係る施策展開の基礎資料とするため、平成29年度に函館市子どもの生活実態調査を実施したところであります。 この生活実態調査の結果による母親の就労状況を家族形態別に申し上げますと、両親世帯ではパート・アルバイトが41.7%、正規の職員・従業員が21.3%、働いていないが25.1%となっており、母子世帯ではパート・アルバイトが37.2%、正規の職員・従業員が33.4%、働いていないが13.2%となっております。 また、家族の収入状況につきましては、両親世帯では500万円以上700万円未満が25.2%と最も多く、次に300万円以上400万円未満が17.1%であるのに対し、母子世帯では100万円以上200万円未満が35.3%と最も多く、次に200万円以上300万円未満が24.0%という状況となっております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) シングルマザーの生活実態についてですが、市としてどのように捉えていますか、お聞かせください。 ◎子ども未来部長(佐藤ひろみ) 母子世帯の生活実態についてのお尋ねでございます。 先ほどの子どもの生活実態調査におきましては、家計の状況についてもお聞きしておりまして、両親世帯では赤字が23.8%、どちらでもなくぎりぎりが41.1%であるのに対し、母子世帯では赤字が32.2%、どちらでもなくぎりぎりが52.7%という状況になっており、母子家庭のほうが赤字、どちらでもなくぎりぎりの割合が共に高いことから、生活実態が厳しいものとなっていると捉えております。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 母子世帯が赤字が32.2%と非常に厳しいものになっているという事実ですね。 では、最後にお伺いしますが、シングルマザーの方から──これは介護従事者の方です──年末年始の保育料金が非常に高く負担になっているという話を聞きました。市はこれまでも独り親家庭への支援を行ってきておりますが、シングルマザーのこの生の声を聞き、こういう細かいところまで支援を充実させる必要があると私は思いますが、市のお考えをお聞かせください。 ◎子ども未来部長(佐藤ひろみ) 年末保育の料金負担についてのお尋ねでございます。 年末保育は、市内の保育所や認定こども園の休園日である12月29日から31日までの3日間に、保護者の就労により保育を必要とする子供を対象として、市内5か所程度の園において保育を提供するものであり、利用時間にかかわらず1日当たり3,600円の利用料金となっているところでございます。 本市では、年末年始にも子供の預かりを行っているファミリー・サポート・センター事業を実施しておりまして、今年度から函館市に在住する児童扶養手当やひとり親家庭等医療助成の対象となる独り親の方の助成を拡大し、利用料金が30分当たり200円であるところを100円で利用できるよう負担軽減に努めているところであります。 以上でございます。 ◆(出村ゆかり議員) 分かりました。 介護の現場──医療の現場でもそうですけれども──年末年始、シフト制なんですよ。年末休むのであれば、大みそかとか休むのであれば三が日は出てくださいといったように出勤を強要されるケースも少なくありません。ぜひともこのシングルマザーの経済的負担、精神的負担を、生の声を施策に反映していただきたいと思いまして、子供・子育て全般についてもより一層の支援が図られるよう要望しまして、私の質問を終わります。 ○議長(工藤恵美) これで、出村 ゆかり議員の一般質問は終わりました。 次に、24番 島 昌之議員。  (島 昌之議員質問席へ着席)(拍手) ◆(島昌之議員) 民主・市民ネットの島 昌之です。 事前通告のとおり、市長並びに教育長に質問させていただきます。 まず、大綱1点目、学校給食と食育推進についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染拡大により、子供たちも全国一律での学校休校要請により大きな影響を受けました。学校が休校となったことにより、学校が果たしてきた様々な機能を改めて認識することができました。学校は、あらゆる子供たちにとってつながりを持つことができる貴重な場であり、単に学びの場となっているだけではなく、家庭外の居場所であり、また栄養ある食事を食べられる場所であり、子供たちの危機に気づくことのことのできるセーフティーネットの役割を果たしている地域の貴重な資源となっております。 しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道が今年5月に行った調査では、一斉休校が続く中、子供の食費などの負担が増し、1日2食しか食べられない、1日3食を食べられないときが増えた、食費を切り詰めているので子供の栄養面が心配など、一斉休校で学校給食がなく満足な食事が取れない実態が報告されていました。シングルマザーの半分以上は非正規で働いており、NPOには困窮した独り親から相談が激増したとありました。 本市では長期休校中の子供たちの食生活がどうだったのか、お伺いしたいと思います。 ◎子ども未来部長(佐藤ひろみ) 独り親家庭からの相談についてのお尋ねでございます。 学校の臨時休業期間中に独り親家庭の方から寄せられた相談といたしましては、子供の食費や食生活に関しての具体的なお話は出ておりませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により生活が困窮しているといった内容のものが複数件あったところであり、中には学校が臨時休業になった影響を受けて、子供の食費がかさみ、家計に負担をかけるというような状況もあったのではないかと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 家庭にも影響があったのではないかというふうなことかと思いますけども、次に、学校給食は義務教育制度が発足して以降、子供の貧困対策あるいは生存権保障という側面を一貫して担ってきました。学校給食は栄養バランスを考えて献立が工夫されています。生活が困難な親にとっては、子供が家庭にいれば仕事も休まざるを得ず、収入も減る中で子供の栄養を考えて毎日の昼食準備をすることは容易ではありません。長期休校中、児童生徒の学校給食がどのように行われたのか、お伺いいたします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 臨時休業中の学校給食の提供についてのお尋ねですが、新型コロナウイルス感染症の予防を目的とした市内全小・中学校の臨時休業は2期に分けて実施しており、令和2年2月27日から3月24日までについては学校給食は実施しなかったところであります。後半の臨時休業期間中であります4月20日から5月29日のうち、5月21日から5月29日までの間に児童生徒を午前・午後2つのグループに分けた分散登校を実施し、十分に食事が取れていない児童生徒に配慮するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から児童生徒による盛りつけや配膳などによる密集を控えるため、配膳を伴わない簡易給食を実施したところであります。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 成長期にある子供たちにとって、身長、体重、このような伸びは健康のバロメーターであります。子供たちの体に長期休校の影響があったのかなかったのか知るためには、健康診断や体力・運動能力測定が行われることが大事だと思います。健康診断や体力・運動能力測定が行われたのか、またその結果はどうだったのか、お伺いいたします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 体力の状況についてのお尋ねですが、このたびの臨時休業が児童生徒の体力にどのように影響を及ぼしたかについて、数値的に把握できるデータはございませんが、長期の休業により児童生徒の食生活の乱れはもとより起床時間や就寝時間などの生活時間の乱れも生じていたものと考えられるところであります。 学校からは、再開後の最初の1週間の児童生徒の様子として、登校時眠そうな表情をしている、授業中、集中が持続しない、体育の授業において疲れやすいなどが報告されているところであります。 児童生徒の食生活や生活習慣は徐々に改善されてきており、現在は臨時休業前の状況に戻りつつあると捉えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 児童生徒の健やかな成長、そしてまた健康を支える学校給食には、家庭での食生活で不足する栄養を補給するなど、大事な役割があります。最近では、毎日のように感染症が出るなど、本市でも新型コロナウイルス感染が拡大しております。学校を感染源にはしない、子供たちの学ぶ機会を守る、このような強い気持ちで取り組んでおられることに敬意を表しますが、今後、感染拡大に伴い、休校措置が取られる可能性もあるかもしれません。一斉休校など長期休校が余儀なくされた場合、学校給食の対応についてお伺いします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 今後の臨時休業が実施された場合についてのお尋ねですが、令和2年12月3日付で文部科学省の学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルが改訂され、感染拡大地域における学校教育の継続の考え方として、「特に小・中学校は地域一斉の臨時休業は基本的に避けるべき」と明記されたところであります。 本市といたしましても、学びの保障や心身の健康の影響の観点から、地域の社会経済活動全体が停止するような場合を除き、全市一斉の臨時休業は考えていないところでございます。 なお、仮に今後臨時休業が実施された場合につきましても、可能な限り感染防止に配慮した分散登校の実施や学校給食の提供方法について検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 現在、第3次函館市食育推進計画、これが策定中です。先般、10月30日、第3回函館市食育推進計画策定推進委員会が開催されました。資料を見ますと、本市は男女共に全道・全国と比べ健康寿命が短い状況にあること、そして子供の朝食について毎日食べる子供の割合は、全国と比較するとおおよそ2から6ポイント低く、北海道との比較では、中学3年生はおおよそ1から3ポイント低い状態にあること。さらに成人の朝食について欠食する割合は20歳代及び30歳代の男性に多く、20歳代では3人に1人、30歳代では4人に1人が朝食を欠食する、このようにありました。 今年6月に出された第2次函館市食育推進計画の評価結果の評価のまとめの中には、成人についての項目で、「成人期、特に20歳代、30歳代の若い世代は、これから親になる世代でもあるため、「食」に関する正しい知識を深め、心身の健康を増進する健全な食生活を実践することが重要」、「第2次計画では、子どもを中心として推進してきましたが、子どもを取り巻く大人のための食育も重要であることから、子どもから高齢者に至るまで、生涯を通じた食育の推進が必要」とありました。 10月30日の推進委員会では、早寝・早起き・朝御飯は重要だが、大人の中では認識の違いもある。実際に行動に移さないといけない、取り組みやすいことが大切、このような意見が委員会から出されておりました。これまでの食育推進の取組、そして課題についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 食育推進の取組と課題についてのお尋ねですが、本市では、平成23年に第1次函館市食育推進計画を策定して以来、これまで子供を中心とした食育を推進してまいりましたが、健康寿命が男女共に全国・北海道と比較して短いことや、生活習慣病の起因となる朝食の欠食率が大人も子供も高い状況であることから、今後は働く世代を中心に大人も含めた食育を推進する必要があるものと考えております。 このことから、令和3年度からの第3次計画では、有識者会議の意見をいただきながら、子供から大人までを対象とした幅広い世代に対する食育を目的として策定するとともに、はこだて市民健幸大学における講座等の実施、企業の健康経営に対する取組の支援、ホームページにおける食事相談など、特に働く世代が自身に対しても子供に対しても食育を意識していただけるような実効性のある事業に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 実効性のある事業、ぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、次に、弁当の日の取組についてお伺いしたいと思います。 私は、この弁当の日のことを函館市を舞台に在宅医療をテーマにした「はっぴーえんど」、このような著書で有名な函館出身の漫画家、魚戸 おさむさんの「玄米せんせいの弁当箱」、この中で知ることができました。弁当の日とは、子供が自分で食べる弁当の献立づくり、買い出し、調理、弁当箱詰め、後片づけの全てを一人で行うという食育の取組です。親が手伝わないことで一人前になりたいという子供が本来持っている生きる力を育てようというもので、2001年に当時香川県の滝宮小学校の竹下 和男校長が始めました。御飯を作らなくて当たり前という環境の中で育った子供たちが親世代になり、学校給食がなくなる中学校卒業以降の若者たちの食生活の乱れは、自分で食事が作れないことと深くつながっているのではないでしょうか。 平成24年、同僚議員が食育推進に当たり、子供たちだけで作る弁当の日設置をモデル校で進める考えはないか、このような質問をいたしました。そのときの教育長は、子供が準備から後片づけまで食事に関わることや共に語り合いながら料理をすることによって食の大切さを実感することは食育を推進する上で大切でありますことから、議員の御提案の子供たちだけで作る弁当の日については、先進地の事例などを参考に調査、検討してまいりたいと考えています、このように答弁されていました。 子供の朝食の欠食理由は、食欲がないから、あるいは時間がないからなどが特に多い状況とありましたが、一方、親が朝食を作ってくれないのではないか、このような声も耳にしております。子供たちが自分で食事を作るようになれば少しは改善されるのではないでしょうか。弁当の日の体験を通じて、子供たちに自己肯定感が育まれる。竹下先生はこのように話をされておられます。今こそ弁当の日の取組が必要ではないでしょうか。考えをお伺いいたします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 弁当の日の取組についてのお尋ねですが、弁当の日は、子供たちが自分自身で弁当を作ることを通して感謝の気持ちや自立心を育むことを狙いとし、食育の一環として取り入れている学校が全国で見られ、函館市内におきましても数校で実施されております。 実践内容としては、年に一、二回程度、PTAの事業として全校挙げて実施しているケースもあり、学校や保護者からは、回数を重ねるごとに子供たちのできることが増えていき、成長を実感しているといった感想が聞かれるなど、一定の成果が見られております。 教育委員会といたしましては、日常の1食分の調理について、献立の作成や調理方法等について自ら考え工夫しながら調理できる子供を育むことができるよう、弁当の日に取り組んだ各学校の成果や得られた効果等について市内の学校に情報提供してまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 本市でも数校で弁当の日が実施されているということですけども、滝宮小学校の弁当の日1期生、この一人は次のように言っています。「初めての弁当の日に一生懸命作ったひじき御飯。今も忘れはしない、あのまずい味。それと同じものを父の弁当に入れた。父はまずかっただろうに、そんなことなど一言も言わずおいしかったよと言ってくれた。あのときの気持ちを私は一生忘れない。食は人と人の心をつなぐ大切なもの。私はこのことを小学校での弁当の日から教えてもらった。あの経験なくして今の自分はいないと思っている。その証拠に、私は今も父が大好きである」、このように言っております。 京都市立の小学校では、各学年の子供の発達段階に合わせ、食を教育活動の中心に位置づけた取組が行われております。課題だったのは、いかに家庭を巻き込むかという点だったそうですけども、食育を扱った授業参観を意図的に組んでみたり、あるいは食の話題を盛り込んだ学校だよりや学級通信を定期的に発行するなど、工夫を凝らしたとのことでした。最高学年となる6年生は、自分の弁当を作れるようになってから中学校に進学するとのことです。食は生きる上でのまさに基盤であります。弁当の日はこの食育の推進に合致する取組だと思います。本市での弁当の日の取組がさらに広がることを期待し、この項の質問を終わります。 次に、大綱2点目、要介護者及び障がい者等の交通手段確保について質問させていただきます。 日本の公共交通は、民間企業の営利事業として提供されてきました。しかし、人口減少や人手不足などで収益が悪化し、全国では事業縮小が相次いでおります。そこに今回の新型コロナウイルス感染症が直撃し、苦しい経営が続いているのが現状ではないでしょうか。 2007年に地域公共交通活性化再生法が施行され、自治体の関与を強めながら交通網を維持する制度づくりが進んでおります。電話帳を見ますと、介護タクシーあるいは福祉タクシー、ケアタクシーなどの記載がありますが、交通弱者と言われる要介護者や障がい者の人たちが一人でも利用できる交通手段にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 要介護者等が一人で利用できる交通手段についてのお尋ねですが、現在、本市においては一般のタクシー事業者による福祉タクシー及びNPO法人が実施している福祉有償運送のほか、介護保険を利用した通院等乗降介助や市の事業である東部地区外出支援サービスの利用があります。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 介護タクシーあるいは福祉タクシー、このように名のっていても、介護保険の適用になるとは限りません。訪問介護にはその行為の内容に応じて3種類に区分されております。まず1つは、利用者の身体に直接接触して行われる身体介護、そして身体介護以外で利用者が日常生活を営むことを支援する生活援助、そしてもう一つ、通院等のための乗降または降車の介助を行う通院等乗降介助、この通院等乗降介助がいわゆる介護保険による介護タクシーと呼ばれるものかと思います。 訪問介護事業所数と通院等乗降介助を行っている事業所数についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 訪問介護事業所数などについてのお尋ねですが、令和2年12月1日現在、函館市が指定する訪問介護事業所数は89事業所であり、このうち通院等乗降介助を行うことができる事業所数は11事業所となっております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 12月1日現在、通院等乗降介助を行うことができる事業所は11事業所、このように答弁をいただきましたけども、実際私が調べてみますと、この中で事業を中止している事業所数が相当数あるんではないのかなと思っております。 先日、通院等乗降介助を提供している事業所の方に話をお聞きいたしました。車両の維持管理費あるいは燃料代、人件費など、経費に見合うだけの収入が得られない。また、乗降介助には体力がいるため、女性一人ではなかなか大変である。冬期間、冬道でのトラブル、あるいは交通事故の心配等がある。このように通院等乗降介助が大変なことを話をしていただきました。 本市では、通院等乗降介助を利用したくとも利用しづらい状況にあるんではないか、このように認識しています。通院等乗降介助を維持するためには介護報酬の抜本的な見直しが必要だと思いますが、事業所の現状に耳を傾け、状況を把握し、事業所を支える取組が必要だと考えます。通院等乗降介助の利用実態と現状認識についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 通院等乗降介助の利用実態と現状認識についてのお尋ねですが、函館市が指定する通院等乗降介助を行うことができる11の訪問介護事業所のうち、5事業所については、当該事業所の利用者のうち半数程度の方が通院等乗降介助を利用しております。6事業所については、通院等乗降介助のサービス提供が実質的に行えていない実態があるものと認識しており、その理由といたしましては、車両の維持費用や介護職員の拘束時間に対し収入が見合わないことや、運転できる介護職員が不足しているためであるとお聞きをしております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 11の事業所のうち6事業所は行っていない、半数以下の5事業所が行っている。さらにその事業所の利用者数は半数程度ということですけども、89事業所あって11が通院等乗降介助ができる、しかし実際行っているのは5事業所、具体的な数字をお聞きました。半数程度というのは479人のうち257人が利用しているということだそうですけども、今、今年8月の市内の要支援・要介護認定者数は1万9,507人います。このうち実際に利用できている人は257人、すごい少ないと、利用できない状況にあるんではないかなというふうに思います。 そこでお聞きしますけども、平成22年3月17日付で出された函館市福祉部介護高齢福祉課長通知の訪問介護における通院介助についての中に、「通院等乗降介助について家族の同乗が認められるのはどのような場合か」、この問いに対して、「認知症等で家族がいないと不安である、または医師との疎通ができないなど、家族の付き添いが必要であり、家族が乗車または降車の介助等を行えない身体状況にある場合は、同乗しても差し支えありません。なお、家族が乗車または降車の介助等を行う場合は、タクシーなどの公共交通機関を利用して通院していただくこととなります」、このように文書が発せられています。 通院等乗降介助を利用する、または利用したい家族の状況は100家族あれば100通り、家族の状況は様々です。家族の同乗についての規定はあるのか、厚生労働省にお伺いしました。そのような条文はなく、保険者である各自治体が判断すること、このような答えをいただきました。 例えば一例を挙げます。介護する人が高齢者、そしてまた介護される人も要介護の親で高齢者、そこに家族である障がいのある人がいる。ダブルケアをしているような場合、障がいのある人が通院しなければならなくなったとき、本人だけでは通院が困難であり、要介護状態の親を家に1人置いておくこともできない。どうしても2人で同時に車に乗せて通院しなければならない。このようなことがあります。 ある市内の事業所は、介護タクシーに乗れるのは本人と家族1名だけ、このように記載されてありました。通院等乗降介助における家族の同乗については、それぞれの家族の状況に応じて判断すべきと思いますが、考えをお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 家族の同乗についてのお尋ねですが、通院等乗降介助は1人の利用者に対して1人の訪問看護員が自らの運転する車両への乗車または降車の介助に加えて、乗車前もしくは降車後の屋内外における移動の介助、または通院先もしくは外出先での受診等の手続、移動等の介助を一連のサービス行為として行うものであります。 このため、本人が認知症等で家族がいないと不安になる、または医師等との疎通ができないなど、家族の付添いが必要であり、家族が乗車または降車の介助を行えない身体状況にある場合に、ケアプランに位置づけることにより家族が同乗できることとなっております。通院等乗降介助をケアプランに位置づけるに当たり疑義が生じる場合には個別に市に御相談いただくよう、今後も各事業所に周知をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) ぜひ家族の同乗については個々の状況に応じて対応する、このことをしっかりと事業所あるいはケアプランを作成するケアマネジャーの方に周知徹底していただきたいと思います。 次に、福祉有償運送についてお伺いいたします。 要介護者や障がい者など一人で公共交通機関を利用することが困難な方への移動サービスの一つとして福祉有償運送があります。この福祉有償運送は、函館市福祉有償運送運営協議会で地域内の必要性や安全性などが協議され、必要性が認められた場合に設置される、このように理解しています。 国土交通省のガイドブックによれば、「過疎化の進行や少子高齢化の進展により、地域や都市の構造も大きく変化しつつある中で、移動制約者の福祉輸送サービスに対するニーズも急増し、また多様化してきています。」公共の福祉を確保する観点から、「タクシー等による輸送サービスを補完するものとして、移動制約者の輸送の確保のために、今後、さらに重要性が高まっていくものと考えられています。」とありました。 本市では福祉有償運送をどのように位置づけているのか、お伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 福祉有償運送の位置づけについてのお尋ねですが、本制度は道路運送法に定められた自家用有償旅客運送の一つに位置づけられており、タクシー等の公共交通機関によっては要介護者、身体障がい者等に対する十分な輸送サービスが確保できない場合に、NPO法人等が実費の範囲内であり営利とは認められない範囲の対価により、自家用車を使用して会員に対し個別輸送サービスを行うものとされております。 なお、実施するには地域における必要性及び旅客から収受する対価や実施に必要な事項について福祉有償運送運営協議会において協議が調うこと及び運輸支局への登録が必要とされております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 私は2年前にも障がいのある方、そして高齢者の方が外に出て活動するためには、福祉有償運送を行う事業者や利用者が増えることが望ましいのではないか、このように質問させていただきました。移動制約のある方々の移動手段として周知してまいりたい、このような答弁をいただきましたけども、どのような周知を図ってきたのか、そしてまた、取組として直近3年間の利用実績についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 福祉有償運送の周知、実績についてのお尋ねですが、福祉有償運送については、本市ホームページのほか、障がい福祉のしおりに掲載をして周知をしております。 利用実績につきましては、平成29年度延べ279人、808回、平成30年度延べ221人、411回、令和元年度延べ587人、1,121回となっております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 2つのNPOが実施していたんですけども、現時点では1つしかしていないんじゃないかなと、このような情報もいただき、なかなかこの福祉有償運送、これを取り組んでいくのは非常に困難な、このような状況も見受けられますので、その辺もよろしくお願いいたします。 次に、東洋大学のライフデザイン学部健康スポーツ学科の齊藤 恭平教授は、「健康なまちづくりのエッセンス」──このような新聞記事の中で、「冬場になると高齢者は自宅に閉じ籠もりがちになり運動不足になる」、「高齢者にとっては出かけること自体が健康の維持増進につながる。しかしこれらにはすべてその場所までの交通手段が必要」、「健康づくりの場を設定するだけでなく、その場へ導く環境的配慮がとても重要」、このように述べております。高齢者や障がいのある人たちが健康づくりにつながる場所までの移動支援の取組が必要ではないかと考えますが、本市の考えについてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 高齢者等の移動支援についてのお尋ねですが、本市では函館市内での市電・函館バスの乗車運賃をイカすニモカのポイントで助成する高齢者交通料金助成事業及び障害者等外出支援事業を実施しているほか、障がい者については、障がいの種類等に応じてタクシー基本乗車料金の9割を助成する重度身体障害者等タクシー料金助成事業を実施するなど、高齢者や障がい者の移動支援に努めております。 今後も高齢者等の外出を支援し、社会参加の促進を図ることが必要でありますことから、移動支援の取組について調査研究するとともに、関係部局とも協議してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 昨年2019年の運転免許証の自主返納件数は60万1,022件、前年より17万9,832件増えて過去最高を更新した、このように警察庁のまとめで分かりました。 全国各地では様々な高齢者の交通手段を確保する取組が行われております。本市でも輸送資源の総動員を図り、高齢者や障がいのある人たちへの移動支援の取組がさらに行われることを期待し、この質問を終わります。 次に、大綱3点目、認知症施策の推進についてお伺いいたします。 「我が国の人口構造の高齢化は極めて急速に進んでおり、遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれているが、高齢化の進展の速度に比べて国民の意識や社会のシステムの対応は遅れている。早急に対応すべき課題は多岐にわたるが、残されている時間は極めて少ない」、これは高齢社会対策基本法。この基本法が制定されたのは今から25年前、平成7年11月15日です。25年たち、その後、高齢化は進み、高齢化社会から高齢社会、さらに超高齢社会となってきました。日本では10年後、2030年には人口の3分の1が65歳以上の高齢者、5分の1が75歳以上の後期高齢者となることが予想されています。本市の高齢化率は国や北海道より高く、今後もその傾向は続くものと考えられています。 65歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は推計で15%、2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省の調査で明らかになっています。また、高齢になるにつれ認知症の割合は増加が予想され、85歳以上では2人に1人以上、55%の人が認知症になるとも言われております。本市における認知症の人の現状、そして今後の推計についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 本市における認知症の人の現状についてのお尋ねですが、本市の介護保険における要介護認定者のうち、日常生活自立度がランク2以上と判定された方の人数で申しますと、今月9月末現在では1万1,634人となっております。 また、今後の見通しにつきましては、第8次函館市高齢者保健福祉計画・第7期函館市介護保険事業計画において、2025年には1万2,477人と推計しており、増加傾向にあると予測をしております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 今後も増えていく、5年後には843人現在よりも増えるというふうなことですけども、日常生活への大きな影響はありませんけども、認知機能の低下が見られる状態で正常な状態と認知症の中間ともいえる状態、このことを軽度認知障害──MCIといいます。2012年の時点では推計で約400万人と言われております。認知症の人が約462万人、軽度認知障害が約400万人、合わせますと862万人、65歳以上の高齢人口の約28%、実に4人に1人に当たります。MCIは、放置すると認知機能が低下し、認知症に症状が進展する割合は年平均で約10%と言われ、5年後で約40%の人は認知症へのステージが進行することになります。適切な治療や予防を行うことで、回復したり発症が遅延することもあります。 昨年、秋田県横手市では、65歳以上の高齢者約100人を対象に認知機能検査をしたところ、認知症の前段階とされる軽度認知障害──MCIの割合が47.6%だったとする調査結果が発表されました。5割近くの人がMCIと判定されました。調査をした大田教授は、「天候の影響、特に降雪量が多い地域のため、外出を控えることによる運動不足や、人との交流の機会が少なくなることが関与しているかもしれない」、「MCIや認知症の予防のためには歩行速度を維持できるような運動習慣を心がけるとともに、うつ傾向にならないように注意し、地域の方々と交流を深めることが必要」、このように話をされております。 本市では、10分でできる「あたまの健康チェック」を行い、軽度認知障害を早期に発見する取組が行われておりますけども、本市のMCIの人の現状と支援についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 本市のMCIの人の現状と支援についてのお尋ねですが、厚生労働省の平成24年時点の推定値によると、全国の65歳以上の高齢者のうち、MCI有病率は13%とされており、これを基に算定いたしますと、本市においては今年10月末現在で1万1,719人となるところでございます。 一方で、本市ではMCIを早期に把握するため、コールセンターによる一問一答方式で行う「あたまの健康チェック」事業を平成28年度から取り組んでおり、これまで延べ受検者1,750人中309人、18%の方がMCIの疑いありと判定されております。こうした方に対しましては、医療機関への早期診断の案内や適切な介護予防活動への参加促進を行っているところでございます。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 認知症は誰もがなり得るもの、家族が認知症になることも含め多くの人にとって身近なものになっております。これからは誰もが認知症に正しい知識を持つことが必要です。 昨年6月、認知症施策推進大綱が決定されました。その基本的な考え方として、「認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく」としています。この予防とは認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを遅らせる、あるいは認知症になっても進行を穏やかにするという意味としています。 一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループでは、予防を備えに変えることを提案しています。台風や地震を予防することはできなくても備えが重要であると同時に、認知症に関しても重要なのは予防ではなく、認知症があってもなくても健やかに共によりよく暮らしていくための備えという考え方、そしてその方策と言っています。 認知症になった方は予防しなかった人、予防を怠った人ではない。予防の意味なども含め、認知症に関する正しい理解促進の取組が必要だと思いますが、本市の取組についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 認知症に関する正しい理解促進の取組についてのお尋ねですが、国が昨年取りまとめた認知症施策推進大綱におきまして、認知症の予防については正しい知識と理解に基づく認知症への備えとしての取組に重点を置くとされております。 本市といたしましては、大綱の基本的考え方を踏まえ、運動不足の改善や社会参加といった介護予防活動を一層推進していくほか、引き続き認知症サポーターの養成、認知症地域支援推進員の活動、認知症ケアパスの普及といった場面を通じて認知症の正しい理解促進に取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 世田谷区では、子供から大人まで全ての区民が将来にわたって認知症とともに生きる意識を高めると宣言して、認知症施策の指針となる世田谷区認知症とともに生きる希望条例、これを今年10月に施行いたしました。認知症になって絶望するのではなく、診断されても様々な力が残っており、尊厳と希望を持って自分らしく生きることができるとしています。また、認知症の本人を認知症とともに生きる人と表記しています。どの場所でも意思と権利が尊重され、自らの力を発揮しながら安心して暮らし続けられる、このことを基本理念として掲げ、常に本人の視点に立ち、本人や家族の意見を聞いて施策を進めることを義務づけました。施策の評価委員会への本人参加も明記しております。 本市における認知症の人本人の意思決定と社会参加支援の取組についてお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 本人の意思決定と社会参加支援の取組についてのお尋ねですが、認知症の人であっても、その能力を最大限生かして日常生活や社会生活に関して、自己の意思に基づいた生活を送ることができるよう支援を行うことが必要とされており、現在、認知症初期集中支援チームによる訪問支援や成年後見制度利用支援事業による市長申立てなどにより、本人の意思決定を支援し、できる限り本人の望む日常生活の実現に向けた取組を行っているところであります。 また、認知症の人の社会参加支援につきましては、例えば認知症カフェへの本人参加や運営の手伝いなどといった取組が考えられますことから、こうした環境づくりを推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 全国には認知症サポーターの活動について様々な取組が行われております。せっかく受講していただいた人にオレンジリングを渡すだけでいいのですかとして、認知症サポーター養成講座を受講して終わりにしない、このような取組が行われております。本市でもそのような活動を広げる取組ができないのでしょうか。考えをお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 本市では、これまで地域住民や企業、学校など様々な団体を対象に養成講座を実施し、令和元年末で1万4,814人の方が受講され、認知症サポーターとなっているところでございます。 今後におきましては、活動意欲の高い認知症サポーターに対しては、ステップアップにつながる講座の開催や認知症カフェのボランティアにつながるなどの活動支援について検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 2007年に愛知県で徘回中の認知症の高齢者が電車にはねられて死亡し、鉄道会社が遺族に高額の損害賠償を求める事例がありました。最高裁の判決では、家族の監督責任と賠償責任はないとする一方で、家族の状況によっては賠償責任を負うとの判断が示されました。 これを契機に、認知症の人たちの家族の不安を軽減する狙いで全国の自治体では保険加入の動きが広がっております。神戸市では、被害者に対し市が最大3,000万円の見舞金を出し、加害者が賠償を求められた場合は、民間の保険会社から最大2億円を支払う仕組みをつくり、その財源は市民税を1人当たり年400円増額して捻出しております。認知症は誰もがなり得るとして広く市民に理解を求めました。 本市でも今後の超高齢社会を見据え、財源や対象者をどうするかなどの課題はあると思いますが、認知症の人が起こした事故の被害者や損害賠償金負担を救済するための民間保険への加入が必要ではないでしょうか。本市の考えをお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 民間保険の加入についてのお尋ねですが、平成19年の愛知県における認知症高齢者の鉄道事故をきっかけに、幾つかの自治体において認知症の人の事故を補償する民間保険への加入を支援する取組が始まっており、国ではこれらの取組の事例を収集し、政策効果の分析を行うこととしております。 本市といたしましては、まずは事故などによる賠償の問題ができるだけ起こらないよう、警察、行政、タクシー会社、ラジオ放送など、関係機関の連携による行方不明高齢者の捜索システム、いわゆるSOSネットワークシステムの充実を図るなどにより、認知症の方を地域で支える体制づくりに取り組むとともに、本市における民間保険加入支援の必要性についても情報収集してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(島昌之議員) 本市には、いきいき長寿都市宣言があります。何よりも福祉を大切にするこのまちに、共に力を合わせて、心から長寿を喜び合えるまち函館を実現することを目指すとあります。ぜひ、そのようなまちづくりがこれからも推進されることを期待し、質問を終わります。 ○議長(工藤恵美) これで、島 昌之議員の一般質問は終わりました。 次に、21番 小林 芳幸議員。  (小林 芳幸議員質問席へ着席)(拍手) ◆(小林芳幸議員) 公明党の小林 芳幸でございます。私は大綱4点、市長、教育長に質問させていただきます。 まず初めに、大綱1の公共施設利用者減による指定管理者への収支補填金についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、厚生労働省をはじめ各関係機関より様々な情報が出され、全国の指定管理施設では臨時休館、事業の休止や延期、また施設利用者に対し利用の中止や自粛要請など様々な対応が行われてきました。函館市も例外ではなく、臨時休業または開館時間の短縮など、感染拡大防止対策を行い対応してきたところでございます。その後、開館したもののイベント等の開催制限や観光客等の減少により想定していた利用料金収入を得ることができなくなり、公共施設としての運営が危うい状況に陥りました。 そこで、函館市では、指定管理者が想定された収入が得られない状況の中で過度な費用負担を強いられるとなると事業の継続性に支障を来すおそれも出てくることから、第4次補正で7,637万5,000円の収支補填金を提案し議決されました。 初めに、その支出見込額はどの程度になったのか、お伺いいたします。 ◎総務部長(小山内千晴) 指定管理者への収支補填金についてのお尋ねでございます。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響による利用者減に伴う対応につきましては、利用料金制度を導入している施設のうち、本年4月から9月までの期間におきまして収支の赤字が見込まれる10施設を対象に収支補填金として合わせて約7,637万円の補正予算の議決をいただいたところでございますが、収支実績の結果といたしまして、補填が必要な施設が予算より6施設少ない4施設になり、また、収支補填金につきましては約4,000万円少ない約3,640万円となったところでございます。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 4,000万円余ったということですけれども、補正予算額と比較して実際の収支補填金が少なくなった要因は何なのか、お知らせ願います。 ◎総務部長(小山内千晴) 収支補填金が少なくなった要因についてのお尋ねでございます。 実際の収支補填金が少なくなった主な要因といたしましては、利用料金収入が7月中旬時点におけます補正予算の見込みよりも8月及び9月の実績が上回った施設が多かったこと、また、支出につきましても、指定管理者におきまして管理経費の圧縮や事業中止による経費を削減したことなどにより支出が減少となった施設が多かったことから、結果として補正予算額より収支補填金が少なくなったものでございます。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 分かりました。 実績が上回った施設が多かったということでありますけれども、函館市では5月から9月までの新型コロナウイルス感染症患者は8例目の患者1名のみで、GoToキャンペーンなどの経済対策で人の流れが出始めていたことで実績が上回ったと思われます。 しかし、10月以降については70名を超す患者が出たことやクラスターが発生するなど深刻な状況が続いております。市の行事も、新年交礼会をはじめ、出初式、成人式等々中止が決まり、先が見えない状況になっております。このような中、利用料金制度で行っている指定管理者の上半期以上に厳しい状況は目に見えております。 そこで質問いたしますが、全国的に再び感染が拡大している中、特に観光施設などは今後も利用者数の回復は厳しい状況にあると考えますが、10月以降について収支補填を行う考えはないのか、お伺いいたします。 ◎総務部長(小山内千晴) 10月以降の収支補填についてのお尋ねでございますけども、道内はもとより全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大している中で、利用者数の減少ということが懸念されるところでございます。 いずれにいたしましても、収支補填につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減収により施設の管理運営に大きな支障が生じる場合には各施設の収支状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) コロナ禍の影響は協定書のリスク分担表に当てはまらないということから、事業者側はとても不安な思いをしております。今の答弁で少し安心していただいたのではないかと思いますので、何とぞ対応のほう、よろしくお願い申し上げます。 次に、大綱2点目に移らせていただきます。西部地区再整備事業についてでございますけれども、西部地区の再整備事業については、空き家、また狭小敷地、接道義務を満たしていない再建築不可物件、準防火地域の見直しなど指摘や提案、様々な角度からこの場でも議論をさせていただきました。都市建設部は令和元年7月に本事業の基本的な考え方や方向性を定めた函館市西部地区再整備事業基本方針を策定し、今年8月、取組状況について資料を配付しております。基本方針の中で3つの重点プロジェクトが挙げられております。中でも既存ストック活性化プロジェクトが肝になると私は感じておりますので、そこを重点に何点か質問させていただきます。 初めに、函館市西部地区まちぐらし検討会議の設置や函館市西部地区再整備事業アドバイザーの設置について、進捗状況をお伺いいたします。 ◎都市建設部長(佐賀井学) 検討会議及びアドバイザーの設置についてのお尋ねでございますが、西部地区再整備事業の推進に当たり、広く市民や関係者の意見をいただくために設置する西部地区まちぐらし検討会議につきましては、学識経験者や公募による市民、関係団体などから10名の委員を10月に委嘱したところであり、今月21日に第1回目の会議の開催を予定しております。 また、専門的かつ実践的な見地から助言等を得るために設置する西部地区再整備事業アドバイザーについては、全国のまちづくりの先進事例に関する知見や実績を持つ専門家3名を都市政策、都市経営、都市デザインの分野ごとに11月に委嘱したところであり、先日、都市政策分野の見地から先進事例の紹介や事業手法についてのアドバイスをいただいたところでございます。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 次に、既存ストック活性化プロジェクトの事業手法について、市と協働で検討を進めている株式会社地域経済活性化支援機構についてですけれども、どのような会社なのか、概要についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(佐賀井学) 株式会社地域経済活性化支援機構についてのお尋ねですが、当該支援機構、略称をREVICと申します。このREVICは、株式会社地域経済活性化支援機構法、この法律に基づく地域経済活性化に資する事業活動の支援機関として預金保険機構、農林中央金庫が株主となり、国の認可を受け設立されております。 主な事業といたしましては、地域の金融機関等と組成するファンドによる資金供給や各分野の専門家の派遣を行いながら、地域の中核となっている中小企業等への事業再生支援や歴史的遺産や観光資源の有効活用によるまちづくり事業などを展開しており、事業の実施に当たっては初期段階から事業企画や経営の安定化などを主導的に行い、それらの事業活動が地域で自律的・持続的に行われるよう人材の発掘・育成や経営ノウハウ等の蓄積・浸透を図るなど、全国各地において数多くの地域経済活性化事業の実績があるところでございます。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) REVICについては、私も地域再生の事業をREVICと一緒に行った方から話を伺う機会がございまして、政府機関の信頼ある会社ということでおっしゃっておりましたので大丈夫だとは思うんですけれども、そこから既存ストック活性化プロジェクトの推進に当たりまして、民間実施団体の設立について報告書が提出されているとお聞きしました。現在のその検討状況についてお伺いいたします。 ◎都市建設部長(佐賀井学) 民間実施団体設立の検討状況についてのお尋ねでございます。 既存ストック活性化プロジェクトでは、西部地区における低未利用不動産等を整備し利活用を促進することとしておりますが、その事業手法として民間の専門的知識やノウハウを活用し、不動産等の売買や管理などを効果的に実施する民間実施団体の設立について検討を進めており、11月の中旬にはREVICより具体的な事業計画や収支計画のほか、民間実施団体の経営体制や出資構成などを取りまとめた報告書が提出されたところでございます。 現在、市ではこの報告書の内容について、事業全体の有効性及び継続性などの検証とともに、民間実施団体の経営体制などについて精査を行っているところであり、今後、民間実施団体の設立の考え方を含め、本プロジェクトの実施方針として取りまとめてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 分かりました。 この既存ストック活性化プロジェクトというのは、個人の資産に手をつけていかなければ成り立たないと思いますので、長期にわたる事業になると思います。民間実施団体の設立については、市民の理解を得ながら慎重に進めていただきたいと、ここで要望させていただきます。 次に、定住人口の回復についてなんですけれども、西部地区再整備事業は、市内外の多様な方々の移住などによる定住人口の回復と交流人口の底上げを目的として実施すると明確に示しているとおり、どのようにして活性化を図るかを具体的に考える必要があると思っております。 そこで、なぜ西部地区が衰退してきているのかを私の経験上いろいろ考えたところ、何点か要因が考えられました。 まず、数十年前の住宅ブーム、そのときに土地が高く、売り土地も少なかったということがあります。それにより売り土地が豊富で安価な北部地域に人口が移った経緯がございます。そして、住民が減少すると学校や買物等の施設も減り、利便性が悪化。そのうち市民がマイホームを新築する際の候補地から外れた。そしてまちとしての代謝が悪くなり、空き家が増え続けている。これが現状だと思います。 では、何から手をつけていけばよいのかもちょっと考えてみたんですけれども、初めの売り土地が少なく高価なイメージ、これを払拭し、まとまった安価な敷地を提供し、西部地区らしい美しい町並みをつくってみてはどうかと思いました。 しかし、行政が近隣の相場から逸脱して価格を低くすることは民間への圧迫になるので難しいということです。また、西部地区に移住し新築を建てた場合に補助金を出すのは、個人資産に税金を投入することになり難しいと以前都市建設部が答弁しております。 そこで提案したいのですが、仮に元西小・中学校跡地のようなまとまった公共用地を宅地分譲し、50年以上の定期借地権を設定した住宅用地の貸付けを市が移住者に提供してはどうでしょうか。これにより価格での問題、また売り土地が少ない問題、50年後の空き家の問題が解決され、西部地区でゆったり広めの土地を希望している方や返済を少しでも低く抑えたい方、また子供が独立して住宅を引き継がない方など様々な方に対応できると思います。今これだけ空き家が増えているということで、後々を考えると所有権にこだわる必要はないのではないかと考えられます。 以上のような提案を踏まえ、事業の一つとして検討してみてはどうかと思いますので、見解をお伺いいたします。 ◎都市建設部長(佐賀井学) 元西小・中学校跡地の活用についてのお尋ねでございますが、当該用地は眺望に優れた高台に位置し、まとまった広さを有していることから、本事業を進める上で重要な敷地であると考えており、その活用方法については西部地区全体の活性化に有効となるよう、住宅地や商業、業務用地のほか公共用地としての活用など様々な用途について、事業手法も含めて検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) このくらい思い切ったことしないとなかなか目が向いてこないんじゃないかというふうに思いますので、検討のほうをよろしくお願いいたします。 次に、大綱3に移らせていただきます。市立小・中学校の再編計画についてでございますけれども、これまで平成28年度に五稜郭中学校、平成30年度に巴中学校、青柳中学校が開校し、亀尾小中学校の閉校に伴い、平成29年度と令和元年度には戸倉中学校、上湯川小学校にそれぞれ統合しております。 また、戸井学園は令和3年4月、東小学校、石崎小学校の2校及び磨光小学校、臼尻小学校、大船小学校の3校は令和4年4月、尾札部中学校、臼尻中学校の2校は令和5年4月の統合に向けそれぞれ準備を進めているとお聞きしております。再編に当たっては教育委員会が函館市教育振興審議会に諮問し、答申を受け対応を進めていることになっていると思いますが、現在答申を受けたが対応が進んでいない、またはまだ答申が出ていない事案の有無も含め、小・中学校再編の進捗状況についてお伺いいたします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 学校再編の進捗状況についてのお尋ねですが、函館市内の小・中学校の再編につきましては、教育委員会が教育振興審議会に諮問し、諮問を受けた審議会は学校再編部会において調査審議を行い、教育委員会にその内容を答申するという手順で進められております。 教育委員会は、その答申を基に学校、保護者、地域住民と協議するなど対応を進めていくこととなります。 これまで五稜郭中学校や大森浜小学校など小学校2校、中学校4校を開校したところであり、既に統合方針が決まっている戸井学園など4校についてはそれぞれの統合に向けた取組を進めているところであります。 なお、平成28年7月に答申いただいた八幡小学校、万年橋小学校、千代田小学校の3校及び中部小学校、北星小学校、中島小学校の3校につきましては、現在保護者や地域の方々に説明をしている状況にあります。 また、平成28年7月に諮問した戸倉中学校、旭岡中学校の2校、上湯川小学校、旭岡小学校の2校、弥生小学校、青柳小学校の2校、赤川小学校、神山小学校の2校、深堀小学校、南本通小学校の2校、恵山中学校、椴法華中学校の2校の6つの再編グループにつきましては、函館市教育振興審議会学校再編部会において審議を継続しているところであります。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 分かりました。 答弁では答申を受けたが対応が進んでいない事例が2つ、審議を継続している事案が6つあるとのことですが、諮問・答申から4年が経過しておりますので対応する必要があると考えますが、今後どのように対応していくのか、お聞きいたします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 今後の対応についてのお尋ねですが、既に答申をいただいた八幡小学校など2つの再編グループにつきましては、校舎の耐震改修状況や児童数の推移等を見極めているところでありまして、今後の対応につきましては時期を見ながら改めて保護者や地域住民の代表などに説明し、御意見をお聞きする必要があるものと考えております。 また、諮問中の戸倉中学校など6つの再編グループにつきましては、諮問後に教育委員会が行った保護者や地域住民等に対する聞き取りにおいて、統合について慎重に審議するよう御意見をいただいていることから、これまで継続して審議しているところでありますが、本年9月に開催されました学校再編部会において、既に諮問から4年が経過し、様々な状況の変化等が想定されていることを踏まえ、各学校やPTA、地域住民の代表などに現状について改めて説明するよう教育委員会に指示があったところであります。 教育委員会といたしましては、これを受け10月から各学校に対する説明を行っているところであり、今後PTA、地域住民の代表などにも同様の説明を行うとともに、改めて学校再編に向けた考えについて聞き取りを行い、その内容を学校再編部会に報告し、最終的には学校再編部会の報告を受けた函館市教育振興審議会の答申に基づき対応を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 今後の対応について、保護者、地域住民に説明し、意見等をお聞きしていくとのことでありましたが、その声をお聞きした教育委員会は小・中学校の再編をどのように進めていく考えなのか、お聞かせください。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 教育委員会の考えについてのお尋ねですが、今後これら8つの再編グループにつきましては、保護者や地域住民の代表などに改めて説明の機会を設けるとともに丁寧に御意見を聞いてまいります。 教育委員会といたしましては、今後の小・中学校の再編につきましては、保護者や地域住民の代表などから御意見などをお聞きする中で寄せられた様々な意見に適宜慎重に対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 慎重に対応していくということでありますけれども、先ほども西部地区の質問の中でもありましたけれども、私は個人的に小学校がなくなったまちというのは衰退をしていくというか、衰退に拍車をかけていくというふうに考えていますので、この6つの──4年超えていますけれども──ところは本当に慎重に考えていただきたいなというふうに思っております。今、西部地区で人口を回復しようというところで学校を統合するというのも変な話でありますので、そこをしっかり慎重に行っていただきたいと思います。 次に、大綱4に移らせていただきます。住まいと暮らしの安心を確保する居住支援の強化についてであります。 住まいは生活の重要な基盤であり、全世帯型社会保障の基盤でございます。しかしながら、空き家等が増える一方、高齢者、障がい者、低所得者、独り親家庭、外国人、刑務所出所者等、居住確保要配慮者は増え、頻発する災害による被災者への対応も急務となっております。 また、新型コロナウイルスの影響が長期化する中、家賃や住宅ローンの支払いに悩む人が急増しており、住まいと暮らしの安心を確保する居住支援の強化は待ったなしの課題だと考えております。 そこで、本市における居住支援に関する取組について、以下質問させていただきます。 コロナ禍において全国的に生活困窮者自立支援制度における住居確保給付金の利用が爆発的に増えておりますが、本市における申請件数並びに支給決定件数、また、前年と比べてどの程度増えているのか、併せてお答えください。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 住居確保給付金の実績についてのお尋ねですが、本年度の住居確保給付金の実績につきましては、10月末現在で申請件数が198件、支給決定件数が196件となっており、昨年度1年間の実績が申請件数が16件、支給決定件数が16件でありますことから、比較いたしますと現時点で昨年の10倍以上の件数となっております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 住居確保給付金は最大9か月まで支給されます。しかしながら、コロナ禍で対象の拡大がなされた4月以降に受給を開始した方々は、年末年始には支給期間が切れ、路頭に迷うようなことになってしまうのではないかということが懸念され、来年、3回まで延長を可能とする方針が示されました。 しかし、支給期間終了後に引き続き支援が必要な方は確実におられると思います。こうした方々が住まいを失わないようにするために、就労支援の強化等を通じた経済的自立の支援、家賃の安価な住宅への住み替えの推進、公営住宅の積極的な活用、生活保護の受給など本人や家族のニーズや状況等に応じたきめ細かな支援が必要と考えますが、保健福祉部の考えをお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 支給期間終了後の支援についてのお尋ねですが、住居確保給付金の支給期間は最大12か月まで延長が可能となりましたが、支給期間中は少なくとも毎月1回は状況報告等のための連絡が必要となっており、その中で生活の困り事に関する相談を受け、市営住宅など家賃が低廉な住宅の情報提供や相談者の状況に合わせた求人情報を提供するなど、きめ細かな支援を行っているところです。 また、支給期間が終了しても本人に生活の不安がある場合などは、支給期間中と同様に自立相談支援事業の中で相談者の状況に合わせた支援を継続することが可能となっておりますので、住まいを失わないための居住支援をはじめ、様々な生活の困り事に関して包括的に悩み事を受け止め、相談者に寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) 今申し上げましたとおり、支給期間終了後公営住宅に移る、生活保護を受給するといった選択肢がありますが、公営住宅という選択肢は極めて限定的でございます。また、生活保護をどうしても受けたくないという方もおられます。こうした現状に対応するためには、第3の選択肢として福祉部局と住宅部局が連携し、住宅セーフティネット制度の活用に早急に取り組んでいただきたいと思います。 住宅セーフティネット制度においては居住確保が難しい方専用の住宅をセーフティネット住宅として登録し、家賃及び家賃債務保証料の低廉化に係る費用に対して補助を行う制度があります。国土交通省は、令和3年度の予算概算要求において、この家賃低廉化制度の補助限度額を拡充するとともに、地方公共団体が必要と認める場合、入居者の公募手続を除外するという制度改正を盛り込んでおります。これが実現すれば、住居確保給付金の支給を受けた低所得者の方がお住まいの住宅をそのままセーフティネット住宅として登録でき、転居することなく家賃補助を受けながらそのまま住み続けることができるようになります。また、家賃補助は大家さんに直接納付されますので、大家さんも滞納の不安なく安心して貸し続けることができます。コロナを機に住宅セーフティネット制度の家賃低廉化補助に積極的に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎都市建設部長(佐賀井学) 家賃低廉化補助についてのお尋ねでございますが、住宅セーフティネット制度の支援の一つである家賃低廉化補助は、民間賃貸住宅を貸主が低額所得者や高齢者などの住宅確保要配慮者が入居できる専用住宅として市に登録し、その住宅の管理開始から原則10年間、家賃の一部を貸主に補助するものであり、要配慮者への住宅の確保及び居住の安定を図るための有効な手法の一つであると認識しております。 また、住宅セーフティネット制度につきましては、現在国においてより活用しやすい制度の見直しなども検討されており、公営住宅の補完的な役割も期待されるものと考えられますので、制度導入に向け、令和5年度に策定予定の次期函館市住宅マスタープランの策定作業を進める中でその役割を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) このような取組を積極に進め、生活にお困りの方について、今の住まいから転居することなく、継続して住んでいただけるようにするなど、適切な居住支援を進めていくためには住宅部局と福祉部局の連携が何よりも重要でございます。 愛知県名古屋市では、コロナ禍の前から専門部会をつくり、居住支援の情報の一元化を進めるなど対応に当たっているほか、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、民間団体等と連携して、居住支援協議会を設立しております。 本市においても、まずは住宅・生活困窮者支援、独り親支援、生活保護等の担当課からなるプロジェクトチームを設置し、公営住宅の空き情報など住まいに関する情報の共有を図るとともに、民間団体等と連携した居住支援協議会の設立を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 ◎都市建設部長(佐賀井学) 居住支援協議会の設立についてのお尋ねでございますが、居住支援協議会につきましては、住宅確保要配慮者への入居を拒まない民間賃貸住宅の供給を促進するため、住宅セーフティネット制度の支援策の一つとして、地方公共団体の住宅部局と福祉部局、不動産関係団体や居住支援団体等が連携して設立し、要配慮者及び貸主の双方に住宅情報の提供等の支援を行うものでございます。 市といたしましても、要配慮者への民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るためには、貸主の理解とともに関係者間の情報共有や連携が重要であると考えており、今後、居住支援協議会の設立に向け関係部局と協議を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) これは大事なことだと思いますので、早急にお願いしたいと思います。 来年度予算に関する厚生労働省の概算要求には、今年度補正予算で措置された生活困窮者等への住まい確保・定着支援が盛り込まれております。これは居住支援法人などが生活困窮者支援の窓口と連携しながら、入居に係るマッチングなど、居住支援を進めるための事業でございます。 本市でもプロジェクトチーム等での議論等を通じて住宅部局と福祉部局の連携を進め、居住支援の強化の観点から、ぜひこの事業に取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 住まい確保や定着支援に係る事業についてのお尋ねですが、生活困窮者の居住支援といたしましては、これまでも生活困窮者自立支援制度において、住居確保給付金による家賃支援や包括的な相談支援を行う自立相談支援事業により、相談者の状況に合わせた必要な支援を実施してきたところです。 具体的な支援といたしましては、住居確保給付金については、離職またはやむを得ない休業等に至った場合や収入及び資産状況など一定の要件の下で家賃相当分の給付金を支給しており、自立相談支援事業においては、相談者の希望や必要により、市営住宅など家賃が低廉な住宅の情報提供も行っているところです。 また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う支援といたしましては、今年度から市住宅課において、住宅困窮者を対象とした市営住宅の一時使用許可を実施しているところであり、今後におきましても、住宅及び福祉関連部局など、関係機関が綿密に連携し、居住支援の強化に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) ちょっと今の答弁では不十分だということで質問しているのですけれども、先ほど都市建設部から居住支援協議会の設立を検討する答弁がございました。福祉部局も住宅部局と綿密に連携するとのことでございますので、協議会を早急に立ち上げ、住まい確保・定着支援事業に取り組んでいただきたいと要望いたします。コロナ禍で家賃が払えないと住まいに不安を抱えておられる方は、住まいだけではなく、複雑な課題やリスクを抱えておられるケースが少なくありません。こうした方々を誰一人置き去りにすることなく支援していくためには包括的な支援体制が必要でございます。 来年4月から改正社会福祉法が施行となり、いわゆる断らない相談支援を具体化するための重層的支援体制整備事業が始まります。コロナ禍で大変な思いをされている方々を誰一人取り残さないという決意で、本市においても重層的支援体制整備事業に速やかに取り組んでいただきたいと思いますが、最後に御見解をお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 重層的支援体制整備事業実施の見解についてのお尋ねですが、本事業は、改正社会福祉法により令和3年4月に施行される任意事業であり、事業概要といたしましては、包括的相談支援事業、参加支援事業、地域づくり事業による3つの支援を一体的に行うとともに、これらの支援を支えるため、アウトリーチ等を通じた継続的支援事業、多機関協働事業、支援プランの作成の3つの事業にも一体的に取り組むものであります。 同事業の目的は、高齢者、障がい者、子供、生活困窮者に係る既存の相談支援事業と交流や居場所としての地域づくり事業を活用しながら、8050問題や介護と育児のダブルケア問題など、複合化、複雑化した地域の生活課題に対応しようとするものでありますが、本市におきましては、今後、整備する福祉拠点による包括的支援体制の中で、これらの課題解決を図ってまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ◆(小林芳幸議員) ありがとうございました。 以上で、質問を終わらせていただきます。 ○議長(工藤恵美) これで、小林 芳幸議員の一般質問は終わりました。 ここで、再開予定を午後1時10分としまして、休憩いたします。          午後 0時09分休憩  ======================          午後 1時10分再開 ○副議長(道畑克雄) これより会議を再開いたします。 休憩前の議事を継続し、一般質問を続けます。23番 紺谷 克孝議員。  (紺谷 克孝議員質問席へ着席)(拍手)
    ◆(紺谷克孝議員) 日本共産党の紺谷 克孝でございます。 通告に従い、大綱3点にわたり、市長並びに教育長に質問いたします。 最初に、アイヌ新法の制定の意義についてお聞きします。 アイヌ新法──正式にはアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律であり、2019年4月に制定されています。アイヌ民族を先住民族として、初めて法的な位置づけがなされた法律であります。函館市として、このアイヌ新法の制定された意義についてどのように認識されているのか、お聞きします。 ◎企画部長(湯浅隆幸) アイヌ新法に対する市の認識についてのお尋ねです。 昨年4月に制定され、翌5月から施行されておりますアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律、いわゆるアイヌ新法につきましては、「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的」としておりまして、国としてこれまでの施策に加え、アイヌ文化の振興等のため環境を整備し、アイヌの人々の自立を最大限支援するための施策を総合的・効果的に実施することとされているなど、アイヌに関する施策のより一層の推進が図られることはもとより、近年、先住民族への配慮を求める国際的な要請も高まっている中で、我が国を含め国際社会において重要な課題である多様な民族の共生やその文化の発展について国民の理解をより深めることにもつながるものと認識しております。 以上です。 ◆(紺谷克孝議員) 2007年に国連総会で採決された先住民族の権利に関する宣言に基づいて、2008年衆参両院でアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が採択されています。その決議から10年、成立したアイヌ新法でアイヌは先住民族と明記されていますが、先住民族の様々な権利を十分反映していないという側面もあります。 今後は、国連の先住民族の権利に関する宣言が求める政策との関係を検証し、国際水準に向けて不断の改善が必要だというふうに考えています。 次に、アイヌ政策推進計画の作成についてお聞きします。 アイヌ新法では、第3条及び第5条において国及び地方公共団体に対し、アイヌの伝統や多様な民族の共生、及び多様な文化の発展について、国民の理解を深める立場でアイヌ施策を推進するように明記されています。そして、第7条は、政府がアイヌ施策の基本方針を定めなければならないとなっています。アイヌ新法施行後の半年後、2019年9月に政府は基本方針を策定しています。第10条は、市町村はこの基本方針に基づき、アイヌ施策を推進するための計画を作成し、政府の認定を申請することができるというふうになっています。この計画が政府の認定を受けたときは、事業実施に係る経費に充てる交付金が国から交付されることになっています。 函館市として、アイヌ施策推進計画を作成し、政府に申請して、事業を実施する考えがあるかどうか、お聞きします。 ◎企画部長(湯浅隆幸) アイヌ施策に関します今後の市の取組というお尋ねです。 本市におけるアイヌ施策につきましては、現在アイヌ文化の振興や生活向上など、各分野において所管部局を中心に取組を行っているところでございます。 今後におきましては、アイヌ新法におきまして、アイヌ施策の推進が国や地方公共団体の責務として規定されているほか、国によるアイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本方針の策定が義務づけられているなど、全国的なアイヌ施策の推進が期待されておりまして、本市におきましても、法の趣旨等も踏まえ、各種取組を進めていくことになるものと考えているところであります。 以上です。 ◆(紺谷克孝議員) 法の趣旨を踏まえて取組を今後進めていきたいという答弁です。 2019年9月に政府が基本方針を策定して以降、2019年度、2020年度と道内各市町村が推進計画を申請し、認定され、交付金も決定されています。札幌市や旭川市、苫小牧市、釧路市などをはじめ、計画をつくり、交付決定を受けている自治体は全道で約30自治体となっています。道南では、長万部町、八雲町が決定を受けています。計画の中身としては、アイヌ文化の保存・継承に関する事業、アイヌの伝統等に関する理解を促進する事業、観光の振興、産業の振興事業、地域交流、国際交流事業など多岐にわたっています。後の北方民族資料館の充実のところでも質問いたしますが、函館市は多くの貴重な資料を収蔵、展示している市であり、アイヌの人たちが暮らしている地域でもあるという点で具体的な推進計画を作成し、取り組まなければならないというふうに思っています。 道内他都市に後れを取っているので、ぜひ研究・調査し、アイヌ協会やアイヌの人たちの要望を聞き、懇談を重ねて、推進計画を作成し、進めていただきたいと強く要望しておきたいと思います。 次に、函館市に保管されているアイヌの遺骨の経過と今後についてお聞きします。 市立函館博物館には、現在遺骨が保管されていると聞いています。今年の10月には博物館の裏の広場でイチャルパが執り行われています。函館市が遺骨を保管している今までの経過はどのようなものであったのか、また、今後どのようにされていくのか、お聞きいたします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) アイヌの人々の遺骨保管の経過などについてのお尋ねです。 平成27年度に文部科学省により博物館等におけるアイヌの人々の遺骨及びその副葬品の保管状況等に関する調査が実施され、市立函館博物館では、保管しているアイヌの人々の遺骨について、出土や保管の経緯などの調査を進めるとともに、独立した安置室で桐箱に納骨し、保管することとしたところであります。 また、博物館では、函館アイヌ協会と遺骨の保管環境の整備や遺骨の返還などについて協議を行いながら進めてきたところであり、平成28年度から函館アイヌ協会主催による慰霊の伝統儀式──イチャルパにも協力をしているところであります。現在国が示しているアイヌの施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本的な方針では、大学が保管するアイヌの人々の遺骨等については、返還が可能なものは遺族や地域へ返還し、それ以外の遺骨については、白老町に開設された民族共生象徴空間──ウポポイの慰霊施設へ移管することとなっております。 しかしながら、博物館等におけるアイヌの人々の遺骨等の取扱いについては、現在国や北海道、関係する博物館等で調整が進められているところでありますので、教育委員会では、引き続き今後の国の方向性などを確認するとともに、方向性が示されるまでの間は博物館で適切に保管してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 過去には、研究目的のためとして、アイヌの人たちの墓地から遺骨を盗むなどアイヌの人々にとって中核をなす先住民族の権利──先住権が侵害されたと大きな問題となっています。遺骨について、市の方針は理解しますが、反省の上に立ち、アイヌの人たちと十分話し合い、納得のいく方法を大切にして選択していただきたいというふうに思います。 次に、市立北方民族資料館の展示状況や資料館がどのような役割を果たしているか、お聞きします。 また、豊富な資料を展示するには手狭ではないかというふうに思います。例えば使用していない3階部分を改造して展示室にする、そのような考えはないか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 北方民族資料館の展示についてのお尋ねです。 北方民族資料館では、アイヌ民族資料を中心に他の北方民族に関する資料も合わせ、1・2階に約350点の資料を展示しておりますが、その内容といたしましては、開拓使等が収集した函館博物館旧蔵資料、函館で育ち、北海道大学名誉教授でありました、児玉 作左衛門氏が収集した、いわゆる「児玉コレクション」、函館出身の研究者、馬場 脩氏が収集し、国の重要有形民族文化財に指定されておりますアイヌの生活用具コレクション、いわゆる「馬場コレクション」、この3つのコレクションが主なものとなっております。これらのコレクションは質・量共に国内屈指の資料であり、北方民族資料館の来館者のアンケートでは、資料が豊富ですばらしかった、貴重な資料を目にすることができたなどの声が寄せられております。 3階を活用しての展示につきましては、大規模な改修をする必要があり、難しいものと考えておりますが、現在の展示スペースを最大限生かしながら、豊富な収蔵資料を十分に活用し、アイヌ文化や歴史への理解が深まるような展示を工夫してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 北方民族資料館の資料は豊富で特にアイヌの資料は、市の博物館が収蔵している旧蔵資料、児玉・馬場コレクションが1万点もあり、国の重要有形民俗文化財にも指定されているというふうに答弁にありました。 白老のウポポイに行き、改めて函館に北方民族資料館があるということが分かり、訪れる市民もいるというふうに聞いております。函館の宝というべきアイヌの資料は1万点もあるのに、北方民族資料館の1階、2階での展示が約350点というのではあまりにも少な過ぎるというふうに思います。新しい博物館を建設するなり、あるいは当面3階を改修し、多くの貴重な資料を訪れる市民、観光客、修学旅行生の目に触れるよう、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。 先ほど質問したアイヌ施策推進計画、これにもこういう事業を組み込むことができるというふうに思います。ぜひ積極的に進めていただきたいと要望しておきます。 次に、アイヌの権利と市のそれに対する支援について質問いたします。 北海道150年を振り返ると、先住であるアイヌの人たちの主権、生きるために必要な諸権利が次々と奪われていった歴史だと言えます。アイヌの人たちが様々な差別から解放され、住み、暮らしていける権利の回復、言語・文化を守り、雇用や就学の格差の是正など、課題がたくさんあります。北海道の地で安心して暮らしていく諸権利について、残念ですがアイヌ新法には十分に反映されていません。 函館市にはアイヌ協会があり、アイヌの人たちが暮らしています。そうしたアイヌの人たちが安心して暮らしていける環境が十分整っているとは言えないと思います。自治体としての役割・責務は大きいと思っています。アイヌの人権や生活権をどのように考え、具体化しようとしているのか、お聞きします。 ◎保健福祉部長(大泉潤) アイヌの方々の人権に対するお尋ねでございますが、アイヌの方々の人権の相談につきましては、厚生労働省の生活相談充実事業として、公益財団法人人権教育啓発推進センターで実施しているほか、生活の安定、向上を図るための施策につきましては、北海道において、アイヌの人たちの生活向上に関する推進方策を定め、高校、大学などへ就学するための助成、貸付けや雇用推進員による就労支援など、アイヌの人たちの教育の充実や雇用の安定などに取り組んでいるところであり、アイヌの人たちの社会的・経済的地位の向上を図るための様々な施策を実施しているところであります。 こうした生活関連施策の相談につきましては、北海道のアイヌ施策広域相談事業として公益社団法人北海道アイヌ協会が実施しておりますことから、市といたしましては、相談窓口の周知をするとともに、国や北海道と連携を図りながらアイヌの方々からの相談に対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 今、アイヌの質問しているんですが、答弁が各部局にわたっている。アイヌを専門に担当する部局がまだ設置されていないということの表れだというふうに思います。 まず、市役所内に専門の担当部署を設け、アイヌ協会やアイヌの人たちとの話合いをはじめ、要望を聞くことから始めるなど、行政として動くことが大切だというふうに思います。例えばワンストップ窓口などの設置に関して、考え方をお聞きしたいと思います。 ◎保健福祉部長(大泉潤) ワンストップ窓口の設置に関するお尋ねでございますが、先ほども御答弁申し上げたところでございますが、アイヌの人々の生活関連施設の相談につきましては、北海道が相談窓口を設置しているところでございます。 そうした相談窓口の周知はもとより、国や北海道、そのほか様々な関係機関と連携をしながら、アイヌの方々からの相談に対応してまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) アイヌ新法が昨年4月に成立、施行されて既に1年半以上が経過しています。ぜひ法律の趣旨に基づいて、函館市も道内他都市と同様の具体的な計画をつくって、アイヌの人たちが過去の歴史の中で差別を受けていた、この権利回復のことも含めて、ぜひ推進計画をつくっていただきたいということを最後に要望しておきたいと思います。 次に、大綱2点目、市立図書館と学校図書館について質問いたします。 函館市中央図書館は、11月で誕生から15周年を迎えます。この節目の15周年を記念して、中央図書館では、図書館がどのように建設されたのか、あるいは魅力ある図書館をつくり上げようとしてきた経過などをよく理解できる、そうした講演会が開催されています。 現在、図書館は指定管理者によって運営されていますが、函館市として現在の図書館運営をどのように評価されているのか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 現在の中央図書館の状況についてのお尋ねです。 中央図書館は、平成17年11月に開館して以来、多くの市民が利用しているところであり、また、平成27年度からは民間事業者のノウハウや機動力を生かし、図書館サービスの質の向上を図るため、指定管理者制度を導入したところであります。 指定管理者におきましては、施設の設置目的に資する各種講演会の実施や図書館のPR誌である「ハトダヨ」の毎月発行、図書館を使った調べる学習コンクールの実施など様々な取組を行っているところであり、令和元年度の利用者アンケートでは、図書の量・内容に満足している方が79.7%、職員の説明・対応に満足している方が93.1%などとなっており、利用者から高い評価をいただいているものと認識しております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) アンケート調査の結果から利用者からも高い評価を受けている──今の図書館がですね──そういう高い評価を受けているという答弁でした。今後とも努力していただきたいというふうに思います。 中央図書館の管理を指定管理者に委託して6年目となります。委託後、教育委員会はどのような役割を果たしてきたのか、例えば図書館法上は運営について教育委員会が評価し、市民に知らせていかなければならないとされています。図書館に対する市の役割をどのように考えているのか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 指定管理者制度での市の役割についてのお尋ねです。 教育委員会では、指定管理者制度の導入に当たり、図書館サービスの水準を確保するため、図書館資料の選定や除籍、団体貸出し、予約・リクエスト、障がい者サービスなどに関わる方針や基準を定めた各種要綱を示し、指定管理者はこれらに基づき図書館運営に当たっているところであります。 また、指定管理者からは、毎年度の事業実施計画書のほか、毎月の管理業務報告や選定資料リストの提出、さらには日常的に図書館運営や施設管理に関する相談や報告を受けているところであり、それらの計画や管理運営状況を確認する中で、必要に応じて指導・助言を行うとともに、利用者ニーズの把握や様々な情報共有にも努めているところであります。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 民間に委ねられて6年になります。図書館の管理運営を指定管理者に委託ということですと、どうしても市の関わりが希薄になる傾向があるのではというふうに感じております。 教育委員会には、市民の要望に応えて、将来どのような図書館にしていくのかなども常に念頭に置いた施策が求められています。ぜひそうした人材も育成し、対応していただくということを要望しておきたいと思います。 次に、図書館協議会の再組織化について質問いたします。 図書館協議会は、業務を指定管理者に移行させると同時に廃止されています。全国でも大きな自治体の図書館には図書館協議会が設置され、住民の図書館に対する要望や意見を直接聞き、運営の改善につなげています。指定管理者には現在懇話会が設置されていますが、管理運営を委託されている指定管理者の懇話会では政策的な問題も含め、市民の意見・要望に十分応えられないと思います。協議会を再度立ち上げる考えはないかどうか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 図書館協議会についてのお尋ねです。 図書館法において、「図書館協議会は、図書館の運営に関し館長の諮問に応ずるとともに、図書館の行う図書館奉仕につき、館長に対して意見を述べる機関」と位置づけられており、本市におきましては、指定管理者制度の導入に併せ、平成27年に廃止したところでありますが、指定管理者が利用者から御意見や御要望を伺う機会として利用者懇談会を開催しており、その内容については、教育委員会に報告されているところであります。 また、教育委員会では、毎月指定管理者と運営状況の把握や指定管理者に寄せられた市民要望等に関する意見交換を行うなど緊密に連携し、市民ニーズの把握に努めているところであり、図書館協議会の再設置については考えていないところであります。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 図書館協議会の再設置については考えていないという答弁です。 指定管理者の館長が図書館法のいう、諮問することができないなどを理由に挙げ、協議会を廃止したというふうにしています。先ほどの答弁でも、教育委員会の果たす役割として、利用者ニーズの把握や情報共有にも努めるとの答弁でした。市民の意見や要望を直接聞く、そして政策にも反映していく、指定管理者では解決できない政策的な要望についても協議会では話すことができます。また、市の考え方、施策を委員に直接問うこともできます。 文科省は協議会の必要性を取り入れ、交付税措置も行っています。ぜひ再設置を検討してくださるよう、要望しておきます。 苫小牧市では、図書館運営を指定管理者に委託していますが、協議会は設置されているということも参考までにお話ししておきたいと思います。 次に、移動図書館「ともしび号」の設備充実についてお聞きします。 ともしび号が故障・修理などで運行できない期間があるとも聞いております。きちんとした整備が必要ではないか、またコロナ禍で実際にともしび号の中に入ることが密になるのではないかというふうに思います。改修・改善の考え方があるのかどうか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 移動図書館車についてのお尋ねです。 現在使用している移動図書館車は一度に利用できる人数は大人では8名程度、子供では12名程度となっておりますが、現在は新型コロナウイルス感染症防止対策として、利用人数をおおむね半分にしております。利用の多い小学校では、以前巡回の時間帯が昼休みであったことから混雑していたこともありましたが、放課後に変えたことにより、現在では利用人数を制限している状況であっても、ほとんど混雑がないものと承知しております。 なお、現行の移動図書館車につきましては、導入後15年が経過し、経年劣化が進んでいることから、今年度中に現行車両とほぼ同様の規格で更新することとなっております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 今年度中に車両の更新という答弁です。 ぜひ少しでも車内のスペースを現在より拡大できないのかどうかと。私もこれを見たのですけど、大体密にならないようにということになると、五、六名ぐらいではないかというふうに思うんで、新しい車両に更新するのであれば、その点もぜひ考慮していただきたいというふうに思います。 ともしび号の運行は停車回数が旧市内では18地点でおおむね月2回となっています。東部4地域では、9地点で月1回しか停車していません。2019年度の実績で見ると、ともしび号で貸し出している人数は、旧市内と比較すると東部4地域では人口比でいくと2倍の人が本を借りています。 東部4地域には地域図書室もありません。東部4地域をもっと重視し、本の貸出しの機会を増やす考えはありませんか。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 移動図書館車の東部4地域への運行についてのお尋ねです。 移動図書館車は、毎月第2土曜日と第4土曜日にそれぞれ南茅部地域及び椴法華地域の5ステーションと戸井地域と恵山地域の4ステーションを巡回しており、各ステーションに30分から45分間停車しております。それぞれのステーションの利用人数は令和元年度実績で1回につき平均4人程度でありますので、教育委員会といたしましては、今のところ東部4地域への移動図書館車の増便は考えておりませんが、今後とも利用状況を把握してまいります。 また、図書館では、移動図書館車の運行のほか、東部4地域の小学校7校に対しまして、毎年民間からの寄附を活用し、年間約150冊の児童書を巡回させており、朝の読書や学級文庫として活用をされているところであります。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 答弁では、東部4地域の小学校7校に対して約150冊の児童書の巡回を行っているということで、これは非常に積極的で評価できる施策だというふうに思います。 しかし、1回の停車で4人程度だからというお話もありました。人数の多少ではないと思います。利用者が少ないから回数を減らすという考え方ではなくて、本に接する機会の格差が旧函館市域と広がらないよう、東部4地域にも最低でも月2回の巡回をぜひ実現していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。 次に、学校図書館の意義と今後について質問いたします。 まず、国の第5次学校図書館図書整備等5か年計画はどのようなものか、函館市の到達状況がどのようになっているか、お聞きします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 学校図書館図書整備等5か年計画と本市の状況についてのお尋ねですが、学校図書館図書整備等5か年計画におきましては、平成29年度からの5か年で学校図書館図書標準の達成や学校司書の配置拡充を図ることなどを目的に策定されたものであります。 本市におきましては、国が示した学校図書館図書標準の達成を目指して整備を進めており、各小・中学校における令和元年度末時点の図書整備率は平均して小学校で84.1%、中学校で81.4%、全体で83.0%となっております。 また、学校司書の配置につきましては、1名の司書が4校程度を担当し、定期的な派遣を行えるよう平成30年度から段階的に配置を進め、現在12ブロック49校に12名を配置しております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 学校図書館の整備は、学校図書館図書標準というのがありまして、答弁にあったとおり、平成29年から令和3年度──来年度まで5か年で学校図書館図書標準の達成──これはいろいろクラス数とかそういう基準を考慮して文科省で決められているわけですが──この達成とともに計画的な図書の更新、学校図書館への新聞配達、学校司書の配備拡充などを図るというふうになっています。国の交付税措置もされております。 教育委員会は、小・中学校の図書の整備、学校司書の配備について、計画を持ち達成を目指していかなければなりません。第5次まで計画が組まれているというのは、なかなか計画を達成した自治体が少ないということもあると思います。 そこで、函館市の図書整備と学校司書の配置状況は現在どのようになっているのか、お聞きします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 学校図書館の整備状況と学校司書の配置状況についてのお尋ねでございます。 先ほど申し上げましたように、学校図書館の整備につきましては──小学校のほうはまだ本年度の分は状況を把握しておりませんが──昨年度の状況については、先ほど申し上げたとおり、図書の整備率は平均しますと全体で83.0%達成しております。 また、図書館の司書についての配備については、先ほど申し上げたように、12ブロック49校、12名を現在配置しているという状況になっております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 学校図書館の整備について──図書整備あるいは学校司書の具体的な配置に対する考え方について、今の現況と今後どのように考えているのかについてお聞きします。 ◎教育委員会学校教育部長(松田賢治) 今後の図書整備と学校司書の配置についてのお尋ねですが、図書整備につきましては、これまで各学校に図書費を計画的に配当して整備を進めておりますが、令和元年度末の状況としましては、学校図書館図書標準を達成した学校がある一方、まだ40%・50%台の学校もあり、整備率に差が生じている状況であります。 今後におきましても、図書購入のための予算の確保に努めるとともに、様々な財源の活用を図るなど、学校図書館のより一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 また、学校司書の配置につきましては、平成30年度から令和2年度までに12名を配置しており、各学校からは蔵書数の正確な把握がなされ、学校図書館の環境整備が図られた、図書館を活用した学習支援が可能となった、児童・生徒の図書館利用の意欲が高まったなどの成果が報告されております。 教育委員会といたしましては、学校司書の配置により大きな成果が得られていると認識しておりますことから、今後につきましては、全ての小・中学校に派遣が可能となるよう検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 答弁にもありましたが、学校図書館図書標準──文科省の標準に対する達成率で見ると40%・50%の学校も現在あるということで、今日、函館市も含めて道内主要の都市10都市の図書標準の達成状況というのを資料としてお配りしていますが、まず、ワースト1とは言わないまでも、札幌市、旭川市などから比べると、かなり悪いと。特に100%に達しているところの学校のパーセンテージ、この一番右端ですけどね、この数字が非常に悪いということで、順次強力に数字を上げていかなければ駄目だというのが道内各都市の中でも、比較しても歴然だというふうに思います。 また、年間の小学校の図書購入費は、平成28年度から平成30年度平均で475万円で、1校当たり10万円から11万円、この程度しか予算が組まれていないということです。これは令和元年度──年度がちょっとずれますけど──令和元年度の道内他都市の1校当たりの小学校の図書購入額、これは全国図書館協議会が行ったアンケート調査です。そのアンケート調査に函館市は答えておらなかったようですが、他都市は全部出ていました。その他都市の1校当たりの小学校の図書購入費、これが──予算額ではですが──札幌市が36万8,000円、旭川市が23万8,000円、室蘭市が43万7,000円、帯広市が18万4,000円、釧路市29万円というふうになっています。これはアンケート調査ですから、本当に正確かどうかというのはありますけど、しかし函館市の小学校は3年間で10万円から11万円ぐらいの水準だと。他都市は1校当たりの小学校の図書購入費を2倍、3倍、4倍の予算で組んでいるということになるわけです。ぜひ、これは財政的な問題があると思いますが、子供たちのためにぜひ予算を大きく割いて、そして文科省の示す標準達成率100%を目指してお願いしたいというふうに思います。 予算特別委員会の審査で、今回学校図書館充実のために市民から4,000万円の寄附があったということが確認されています。市の購入予算が小・中学校合わせて年間800万円程度ですから、予算の5年間分ぐらいの寄附があったということです。整備率90%未満の学校に配分するということで、1校当たり100万円くらいというふうになると。一挙に増えるわけですね。しかし、90%未満ということは、まだ10%以上残していると。私の計算だと、まだ6年や7年かかるんじゃないかというふうに思われます。寄附に頼る本の購入ではなくて、必要な予算をきちんと充てて、整備達成率100%を目指して頑張っていただきたいということを申し上げて、この項目の質問は終わらせていただきます。 次に、大綱3点目の新型コロナウイルス感染症拡大と市の経済支援についてお聞きします。 国のGoToトラベルキャンペーン実施に対する市の見解ということで、新型コロナウイルス感染拡大は、11月、12月に入り全国に拡大し、大阪市をはじめ、札幌、東京など、拡大が広がると同時に、重篤者、死者も最高値を更新しています。大都市だけではなくて、全国的な規模で広がり、北海道では旭川市の病院でクラスターが発生し、医療崩壊にもなりかねない状態が続き、自衛隊の派遣が行われようとしています。政府は大阪市と札幌市を目的地として移動する場合は、キャンペーンの対象外としましたが、東京都は65歳以上、あるいは基礎疾患のある人に利用自粛を呼びかけていると。こういう決め方が適切な対応かどうかが今議論されているところであります。 函館市として、この国のGoToトラベルに対してどのように対応されようとしているのか、お聞きします。 ◎観光部長(柳谷瑞恵) GoToトラベル事業の運用に係る市の見解についてのお尋ねです。 先日、令和2年度の上期分の来函観光客入込客数推計を公表させていただいたところですが、7月以降観光客の入り込みの回復が見られることから、GoToトラベル事業の開始によって観光需要が喚起されたものと認識しております。 現在、本市においては、旅行者がホテルなどで新型コロナウイルスに感染した、または感染を広げたといった事例はありませんが、引き続き函館市に来られる旅行者の皆様にはマスク着用などの基本的なエチケットのほかに、大声で話しながら、また長時間のお酒を伴う飲食を控えることや感染症対策をしっかり講じている飲食店を選んでいただくなどの注意喚起について、宿泊施設等を通じてお願いをしているところでございます。 以上です。 ◆(紺谷克孝議員) 答弁では観光客数が回復傾向にあるということですが、今、全国的には第3波による旅行の自粛、そして冬の観光ということを考えれば楽観視はできないのではないかというふうに思います。感染対策をしっかりやっていれば拡大しないという見解ですが、政府は感染対策よりも経済重視の姿勢で、GoToトラベルも6月末まで延長という提案をしようとしています。今全国でのアンケート調査でも、国民の多数はGoToトラベルが感染拡大に影響ありと見て、中止か一時停止をしてというふうに求めています。GoToトラベル実施により、人の移動、宴会、会食が増すことも確実です。政府の感染症対策分科会も11月25日には事業の一時停止を求めています。 国内で確認された感染者数は12月7日現在、この1週間で前週より約1万5,000人増えています。死者は216人増え、累計で2,335人となっています。そして、クラスターの多発により、医療機関の医療崩壊の危機が迫っている大阪や旭川、東京も重大なレベルにあると思います。私は全国一律のGoToトラベルは直ちに中止し、そして、政府としては、観光、旅行、飲食などの事業者を直接援助する制度へと切り替えるべき、このように考えております。同時に、徹底した検査と医療を充実させ、新型コロナウイルス感染拡大を抑え込み、その後にGoToトラベルに大きく取り組むというふうに考えるべきではないでしょうか。 次に、函館市の宿泊料金の助成とグルメクーポンの発行について質問いたします。 私たちも一度停止して、時期を見て再度実施するなど、人の動きを止めることが新型コロナウイルス感染症対策にとって重要だと思います。市として、既定方針どおり、グルメクーポンも併せて2月から実施するつもりなのでしょうか、お聞きします。 ◎観光部長(柳谷瑞恵) 宿泊料金助成及びグルメクーポンについてのお尋ねです。 本市においては、急激な感染拡大は一定程度抑えられている状況にありますので、冬の観光誘客促進事業について、現時点では予定どおり進めたいと考えております。 今後、新型コロナウイルス感染症の状況により、仮に国による緊急事態宣言の発令などがあった場合には事業の見直しなどを検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(紺谷克孝議員) 市の宿泊料金助成については、既に12月1日から予約が開始され、2月、3月の宿泊が対象になるという制度です。また、グルメクーポンは1月4日から宿泊者へ配付されます。感染拡大の状況により事業の見直しなども検討するというふうな答弁でありました。 函館市は現在爆発的な感染の拡大はありませんが、いつそうした事態になるかもしれません。今後は事業実施についても、状況を見て機敏な対応が求められると思います。 また、助成制度を全国規模ではなくて地域限定型、例えば地元中心の道南と北東北を対象にして実施するなど──既に予約は開始はされていますが──ぜひそうした方法についても検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。 次に、函館市の観光、中小企業、商店への支援についてお聞きします。 新型コロナウイルス感染症が依然として拡大する中で、冬の閑散期を前にホテルなどの観光業者や企業、商店は年の瀬を越すことができるかどうか、窮地に追い込まれている状況となっています。国の持続化給付金、雇用調整助成金の特例、住居確保給付金など、さらに延長や──一部、政府が今延長するというふうには言っていますけど──延長や再度の実施を私たちは国に求めています。 函館市として、今ある制度を周知して活用していただくと同時に、具体的な支援策を講じる考えがあるかどうか、お聞きします。 ◎経済部長(柏弘樹) 事業者への支援についてのお尋ねであります。 これまで、市といたしましては、北海道の休業要請などに応じた事業者へ北海道の支援金への上乗せ及び同業種でも支援対象外となった事業者に10万円から30万円を給付した事業者等特別支援金、さらに国が提唱する「新しい生活様式」の実施と普及に協力いただける小売業者や生活関連サービス業者等を対象に20万円を給付した「新しい生活様式」普及協力支援金をもって事業者支援に取り組んできたところであります。 一方、売上げが減少し、経営に支障を来している事業者に対しましては、自治体の財政規模では財源の捻出が難しいことから、国におきまして、法人には200万円、個人事業主には100万円を給付する持続化給付金をもって支援しているところでありますが、全国知事会及び全国市長会では、国に対し、さらなる支援として持続化給付金の複数回給付を要望しているところでありますので、今後の国の動向を注視しながら、引き続き市として可能な支援を実施してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆(紺谷克孝議員) 今まで行ってきた支援としては、「新しい生活様式」などの制度に伴う支援金、それから国が行っている持続化給付金の制度等があり、引き続き市として可能な支援を実施していきたいという答弁でした。 年の瀬を前に、函館の事業者は収入減、資金繰りなどで大変な状況だというふうに聞いております。政府は2021年度予算、次の国会で予算化するというふうに言っております。しかし、来年の予算ではとても遅過ぎるということであります。今年度の追加経済対策では、飲食店支援などに1兆5,000億円の地方創生臨時交付金を盛り込むというふうに政府が記者会見でも述べております。1兆5,000億円ですから、今までの地方創生臨時交付金が3兆円ということで、相当な額の交付金だといえます。 どれだけ函館市に来るか、あるいはどの程度使えるかというのはまだまだこれからではございます。それらの財源を活用できるということであれば、観光、ホテル業界、飲食店、商店などに、例えばもう一度「新しい生活様式」普及協力支援金などを実施する。やはり早急に財源を具体化して支援する。国が基本ですけど、函館市についてもそうした具体策を、予備費もあることですし、市長も臨時会では基金を活用してどんどんやりたいということも強調されていたので、ぜひ年末に向けて、そうした予算を配置し、市民の窮状に応えていくという政策をぜひ実施していただきたいということを申し述べて、質問を終わりたいと思います。 以上です。 ○副議長(道畑克雄) これで、紺谷 克孝議員の一般質問は終わりました。 次に、9番 工藤 篤議員。  (工藤 篤議員質問席へ着席)(拍手) ◆(工藤篤議員) 市民クラブの工藤 篤でございます。 大綱2点、市長にお伺いしたいと思います。 まずは旧ロシア領事館について、この間メディアを通じていろいろ報道されています。別の案件にかまけてというか、時間を取られ、旧ロシア領事館について勉強するいとまがありませんでしたが、今議論しておかないと後悔しても後悔し切れないと考えましたので、質問をさせてもらいます。というより、いろいろと教えていただきたいと思います。 旧ロシア領事館の歴史的価値に対する評価に対しては、そう大きな異論はないと受け止めておりますが、市民団体から市有の継続を求めて4度の要望書の提出がされています。それで、市と民間団体の要望書との違いというか、見解の相違点はどこにあるのか、教えていただきたいと思います。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 市と市民団体からの要望との見解の相違点についてのお尋ねです。 旧ロシア領事館活用事業につきましては、平成27年1月に市が策定をいたしました、もと道南青年の家(旧ロシア領事館)活用方針に基づきまして、民間事業者に売却をし、景観形成指定建築物等としての保存活用を図ろうとするものでありまして、現在事業者の選定に向けたプロポーザルの手続を進めているところでございます。 これに対しまして、市民団体の皆様からはこれまで4回にわたり要望書の提出がありまして、函館市所有の財産としての利活用、市の指定文化財の指定による価値の保存、市の文化財指定が売却予定時期に間に合わない場合、事業者に対して文化財指定への同意を条件とすることなどの要望をいただいているところでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) もと道南青年の家(旧ロシア領事館)活用方針を読ませてもらいました。そこには、1、「当市の定める「景観形成指定建築物等の保全に係る基準」を遵守するとともに、周辺地域の特性や環境との調和に十分配慮する」、2、「施設の活用にあたっては、公募により民間事業者へ売却もしくは賃貸する」、3、「価格は、不動産鑑定評価を行った上で設定する」と書かれております。 この方針決定前に政策会議が行われておりまして、市長から「このままでは全く違った建物を建てていいように感じるのだが」との発言がありました。これに対して、景観形成指定建築物等の保全に係る基準により、外観については現状維持か復原修理をすると説明しています。さらに、外観のみ文化財的手法での補修となる。専門家の見立てによると、建物自体は木造の骨組みにれんがをサイディングしているような状況なので、もし耐震補強等をするとなると、れんがの隙間にエポキシ樹脂を注入し、内壁から耐震の補強部品をはめ込む工法があるようだとの説明後、活用方針確定後、企業への市場調査を行い、民間の投資対象になるかの可能性調査を整理し、売却もしくは賃貸などの手法を判断していきたい。さらに、賃貸の場合、設定条件によるが、一定程度市が改修することになると議論が展開されています。 これらから、必ずしも民間事業者に売却しての活用一点張りではなかったように読み取れますが、どのような経過で収れんしていったのですか。また、市が改修しての活用の議論はなされなかったのでしょうか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 民間事業者に売却をして活用をすることとした経過等についてのお尋ねです。 旧ロシア領事館につきましては、活用方針に基づきまして、これまで賃貸方式も含めて検討を進めてきたところでございますが、賃貸の場合、事業者からは高額な改修費用や事業の採算性などを理由といたしまして、事業化の明確な意向は示されてこなかったところでございます。 このような状況の中、自ら当該施設を購入して、できる限り維持した上で事業を行いたいという事業者が現れましたことから、売却することによって当館の活用を図ることとしたものでございます。 過去には、ロシア側から整備支援の意向が示されたこともあったほか、国の補助制度等の活用も視野に入れて、改修を検討したこともございますが、改修費用やその後の維持管理費用など財政面での課題もありまして、いずれも検討にとどまっていたところでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 確認しておきたいのですが、市保有での活用、民間売却での活用共に、旧ロシア領事館の歴史的価値を損なうことのないようにするという点においては一致しているという理解でよろしいですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 歴史的価値に関わります市と市民団体の考え方についてのお尋ねです。 旧ロシア領事館につきましては、景観形成指定建築物等としての活用を図るものでございますが、市民団体の皆様からの御要望等も踏まえまして、プロポーザルの募集要項において、建物の外観のみならず、内部についても歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を最大限活用し、歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行うことを求めているところでありまして、歴史的価値を損なうことのないようにするという点におきましては、市と市民団体とはおおむね一致していると理解していただいて構わないものと考えております。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 分かりました。 そこで、外観のみならず、内部についても云々ということですが、たしか政策会議の中では、外観の保全に関してのみで、内部に関しては言及がなかったと受け取りましたが、そこはどうだったのかという点と、もし後日追加されたのだとしたら、その経過をお知らせください。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 建物内部の活用を求めることとした経過についてのお尋ねです。 旧ロシア領事館につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、活用方針に基づきまして景観形成指定建築物等としての保存活用を図るものでありますので、このたびのプロポーザルにおきましては、景観形成指定建築物等の保全に係る基準に基づいて外観を保全していただくことを条件としているところでございます。 建物内部につきましては、市民団体等の皆様から保存を求める御要望をいただいたこと等も踏まえまして、審査委員会において、過去の研究成果を参考として歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を選定いたしまして、募集要項において、当該箇所について最大限活用をして歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行うことを求め、それについては審査の際の評価に反映することとしたものであります。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 分かりました。 建物内部の保存は市民団体等から保存を求める要望に思いをいたし、審査委員会において過去の研究成果を参考とし、歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を選定し、審査委員会において配慮、評価に反映をしていくということですが、審査委員会に、例えば市民団体の中から選考していくということは考えておられるのですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 審査委員会の委員の選考についてのお尋ねです。 審査委員会の委員につきましては、学識経験者2名、建築、歴史、経営の専門家各1名の5名を外部から選考いたしまして、就任をいただいております。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) 御答弁は御答弁として受け止めましたが、質問の意図は、8つの市民団体の構成員は旧ロシア領事館に関わっての専門家というか、造詣の深い方がおられると思うのですが、その方を審査委員として登用するお気持ちはないかということでございます。申し訳ございませんが、質問の意図に沿って御答弁願います。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 市民団体の構成員を審査委員にすると、登用するということについてのお尋ねでございます。 審査委員会の委員名につきましては、応募者などからの事前の働きかけや接触を防止するといった観点から、プロポーザルの終了後に公表することとしているため、詳細は申し上げられませんけれども、委員の中には市民団体に所属をして旧ロシア領事館に造詣の深い方がいらっしゃいます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) それでは、プロポーザル審査委員がロシア領事館の歴史的価値を損なうことのない改修結果にどれだけ責任を負えるのか、教えてください。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 改修結果に対する審査委員の責任というお尋ねでございます。 審査委員会では、事業者の選定に関わりまして、プレゼンテーション及びヒアリングを実施して、各応募者について建物の価値を生かした適切な改修内容となっているかといった項目も含めて8つを審査項目としている評価基準に基づき、最適提案者を選定していただくこととなりますが、その選定結果を受けて、最終的に事業者を決定し、売買契約を締結するのは市となるものであります。 市といたしましては、企画提案書と建設工事の内容の整合性について、工事着手前、工事中及び完了後にも確認するなど、適切に事業が行われるよう対応してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 最終的に事業者を決定するのは市になるのは当然のことと思いますが、そこに至る過程に大きく関わるのが審査委員会なのだと思います。つまり審査委員の選び方及び事業結果に対して一定の責任所在を明らかにしておく必要があると考えますが、いかがですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 審査委員の責任というお尋ねでございます。 審査委員会におきましては、最適提案者の選定結果に対する函館市への説明責任はあると考えますけれども、あくまでも最終的に事業者を決定するのは市となりますことから、市といたしましては、当該事業が適切に行われるよう対応してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 審査委員の権限、責任の範囲というものがあるのは十分承知していますので、御答弁のとおりなのだと思います。 ただ、コンテ日吉でのプロポーザル、その後の事業推進に至っては、御案内のように不自然、不可解な展開になっております。この間のメディアの報道に触れるにつれ、再びそのようなことになってはいけないとの思いが強くなってきております。いずれにしても、事業スタート地点における審査委員会の役割は非常に大きいものがあります。行政におもねることなく、ぜひフラットな対応を期待しておきたいと思います。 それで、先ほど市保有での活用、民間売却での活用共に、旧ロシア領事館の歴史的価値を損なうことのないようにするという点においては同じ考え方であるとの御答弁をいただき、安心しております。 ただ、両者の一致が対象案件について個々具体的に一致するか、このことをどう担保していくのかが非常に難しいのではないかと思っております。逆に言えば、そのことの一致なくして、審査しようがない、審査の基準が曖昧なものになってしまうのではないかと危惧されます。その辺どのように担保していくのか、お聞かせください。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 旧ロシア領事館の歴史的価値の保全についてのお尋ねです。 このたびのプロポーザルの募集要項及び提案に対する評価基準につきましては、審査委員会におきまして、旧ロシア領事館の歴史的・文化的価値にも可能な限り配慮し、御協議をいただいた上で作成をしてきたところでございます。 評価基準におきましては、建物の価値を生かした適切な改修内容となっているかなどを審査項目とした建物の改修、維持管理に関わる分野に全体の4割を配点しておりますほか、審査の結果、総合点が6割に満たない者は最適提案者として選定しないなど、適切な事業者選定となるよう配意しているところであります。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) 募集要項の概要によりますと、外観につきましては、景観形成指定建築物等の保全に係る基準、さらに、内部は別添7に示されている箇所の保存、加えて、価値を有する可能性の高い箇所が新たに発見される場合があることに留意し、改修工事を行うことに加え、発見した場合は市と協議となっています。 また、本年8月の調査報告書に示された、5、領事館時代の面影を残す外観・意匠・備品類をほぼ網羅していますが、各部屋の仕切りはそのままということでしょうか。いわゆる平面図どおりという理解でよろしいですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 建物の内部の仕切りの変更などについてのお尋ねです。 旧ロシア領事館の建物内部につきましては、道南青年の家時代に改修が行われておりまして、各部屋の仕切りにつきましても一部変更が行われているところでございます。 このたびのプロポーザルにおきましては、事業者に対しまして、建物内部の歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を最大限活用して、歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行うことを求めてございますけれども、建築基準法等の関係法令を遵守した上で、その改修内容につきましては応募者の提案に委ねておりますことから、各部屋の仕切りが変更される可能性もあるというふうには考えてございます。 その提案内容が歴史的建造物としての価値を損なわないものかどうかは、審査委員会におきまして、判断といいますか、評価に反映されることになるというふうに考えてございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 先ほどの3つ目のやり取りなのですが、市保有での活用、民間売却での活用共に、旧ロシア領事館の歴史的価値を損なうことのないようにするという点においては一致しているという理解でよろしいですかという質問に対して、そのように理解していただいて構いませんとお答えをいただきました。今の御答弁は先ほどのお答えを逸脱し、矛盾しておりませんか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 建物の内部の仕切りの変更と歴史的価値との関係性についてのお尋ねです。 このたびのプロポーザルにつきましては、基本的にはもと道南青年の家(旧ロシア領事館)活用方針に基づきまして、景観形成指定建築物等としての活用を図ることとしている中、市民団体の皆様からの御要望なども踏まえまして、建物の内部につきましても、歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を最大限活用して歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行っていただくよう求め、審査の際の評価に反映していることとしているところでございます。 したがいまして、事業者から部屋の仕切りを変更するといったような提案がなされるかどうかは分かりませんけれども、そういったことも含めまして、企画提案の審査において、建物の価値を生かした適切な改修内容となっているかという審査項目で評価をすることになるものでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 建物の価値を生かした適切な改修ということは、そもそも道南青年の家として活用されていた当時が基本ではなく、旧ロシア領事館時代のありようをいかに残していくのかが問われるのだと思います。 先ほどの御答弁は、建物の内部につきましては、道南青年の家時代に改修が行われており、各部屋の仕切りについても一部が変更されているところであるということを前提としているように思われました。その上で、改修内容は応募者の提案に委ねていることから各部屋の仕切りが変更される可能性もあるということをおっしゃっております。これでは、市保有での活用、民間売却での活用共に、旧ロシア領事館の歴史的価値を損なうことのないようにするという点においては一致しているという御答弁とそごが生じてくるのではないでしょうか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 歴史的価値に係ります市と市民団体の考え方についてのお尋ねです。 旧ロシア領事館につきましては、先ほど工藤議員に御答弁申し上げましたとおり、活用方針に基づきまして、基本的には景観形成指定建築物等として外観保全等をしていただく中で活用を図ることとしておりますけれども、建物内部につきましては、市民団体の皆様からの御要望等も踏まえまして、歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を最大限活用し、歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行っていただくことを求めているところでありまして、歴史的・文化的価値の保全という点においては、市民団体の皆様とは思いは同じところにあるというふうに考えております。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 市民団体の皆様と思いは同じところにあると考えていると。最大限という文言なのですね。その最大限という対象の具体的な詰めが全くなされていない。第三者的に見ると、そう思いますね。私は市民団体にも属していないし、面識もありません。もっとも個別にこの案件以外の関係で名刺交換ぐらいはしたかもしれませんが。いずれにしましても、今御答弁された、市民団体の皆様と思いは同じところにあるというのは、個々具体的なところで共通認識にあるのでしょうか。市民団体の側の言質は取っているのでしょうか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 歴史的・文化的価値の保全に係る市と市民団体の認識についてのお尋ねですけれども、旧ロシア領事館につきましては、繰り返しになり恐縮でございますが、活用方針に基づきまして、基本的には景観形成指定建築物等として外観保全等をしていただく中で活用を図ることとしておりますが、建物内部につきましても、市民団体の皆様からの御要望を踏まえ、そしてまた、保全に対する強い思いをしんしゃくいたしまして、歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を最大限活用して歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行っていただくことを求めることとしたところであります。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) 今はやりの御飯論法ですか。それとも、私の発する言葉が稚拙で受け止められないのですかね。 先ほど歴史的建造物としての価値を損なわないものかどうかは審査委員会において判断することとなるとの御答弁がございましたが、こんな大事なことが審査委員のみで決定していいのでしょうか。メンバーの中に市民団体に属する方がおられるようですが、もっと広範な考え方を反映するためにも、市民団体をはじめとした市民の声を拾い上げていく必要があるのではないでしょうか。審査委員会は、学識経験者2名、建築、歴史、経営の専門家、計5名です。この5名の中でこういう大事なことを決定していくということが果たして市民の理解を得られるのでしょうか。 思い出してください。コンテ日吉におけるプロポーザルでは、非常に不自然、不可解なことが行われ、いろいろと問題になりました。また、そのような市民からの声もあります。 そういう意味では、もうちょっと立ち止まって、市民団体の人方との対応が必要なのではないでしょうか。4割が歴史的建造物の評価に関わって云々とありますが、それをこの5名の方の中で対応できるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 審査方法についてのお尋ねですけれども、再度の繰り返しになりますが、旧ロシア領事館につきましては、市民団体の皆様からの御要望等を踏まえて、建物の内部につきましても歴史的・文化的価値を有する可能性が高い箇所を最大限に活用して、歴史的建造物としての価値を損なわないよう改修を行っていただくよう求めることとしたものでありまして、審査の際の評価に反映することとしているところでございます。 その企画提案に対する審査に関しましては、学識経験者をはじめ、建築、歴史、経営各分野の専門家、計5名の外部委員で構成される審査委員会におきまして、募集要項における建築の価値を生かした適切な改修内容となっているかといった項目も含め、8つを審査項目としております評価基準に基づいて最適提案者を選定していただくものでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) プロポーザルというのは、一見公正公平な手法に見られますが、委員選定は市の独断といえば言い過ぎかもしれないが、市民の関与するすべはなく、市にとっても審査委員会が選定したという隠れみのになるとの司法関係者のつぶやきを聞いたことさえあります。 ところで、これまでの議論を基にした改修費はどれくらいかかるのでしょうか。試算したことはありますか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 改修費用についてのお尋ねですけれども、旧ロシア領事館の改修費用につきましては、活用方針に基づく活用策の検討の参考とするために、平成28年度に外観等改修費用積算調査を実施したところであり、その調査におきましては、外観の保全を基本とした外壁の改修、駐車場と駐車場までの車路の整備等の外構の整備のほか、電気・機械設備の改修及び附属建物の解体などに要する費用として約1億1,500万円と試算されております。 以上です。 ◆(工藤篤議員) それで、市が改修するという方向性はその中で検討されなかったのですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 市による改修というお尋ねですけれども、先ほどの改修費用の試算につきましては、あくまで活用方針に基づいて活用策を検討する際の参考とするために試算したものでありまして、市が直接改修するといったところではやっていないところでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 過去には検討されたんですね。直近ではなかったということでよろしいですか。ならば、なぜしなかったのですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 改修の直近での検討というお尋ねでございます。 市といたしましては、平成27年1月にもと道南青年の家(旧ロシア領事館)活用方針を定めまして、公募によって民間事業者へ売却もしくは賃貸することとして活用を図るということといたしましたので、それ以降につきましては、市として直接的な利活用は検討していないものでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) かつては売却も賃貸も、また市独自での考え方もあったと。 新聞等を見ますと、市でやっていくということについては財政的な問題も含めてというようなことを書かれていたような気がしますが、それはどういう判断になっていますか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 市が改修する際の財政面の課題というお尋ねでございますけれども、平成28年度に試算した時点で1億1,500万円、これはあくまでも外観の保全ということで、もう最低限の、最小限の改修というものでございまして、それで1億1,500万円かかるということと、あと、その後の例えば維持管理費用ですとか、そういったことを考えますと、維持管理費用についても毎年要するものですし、通年見ていきますと多額の費用がかかるということで、市としての改修ということは考えなかったということでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 今のお話ですと、市が改修をする、市が維持管理をしていくという意味でございますよね。市が改修をして、それを賃貸するということについては、そういう道は探らなかったんでしょうか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 市が改修をして、民間に賃貸という形での活用は探らなかったのかというお尋ねですけども、民間事業者による活用に当たって、これまで賃貸方式も含めまして検討を進めてきたところでございますけども、賃貸の場合、事業者さんのほうから高額な改修費用、それから事業の採算性などを理由として事業化の明確な意向は示されてこなかったところでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) それは、先ほどそういう御答弁がありました。しかし、ちょっと不思議なんですよね。市が改修しようが、事業者が改修しようが、ほぼ同じ金額であるという前提に立つとですね、賃貸の場合、事業者からは高額な改修費用や事業の採算性などを理由とした。高額な改修費用というのは、売却で取得してもそれはかかるわけなんですよね。そうでしょう、事業者にとってですね。それが理由となるんでしょうか。その辺考えたことはありますか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 活用方針というのを平成27年1月に策定して以降、活用に向けたサウンディング型市場調査というのをやっておりまして、そのときに民間事業者さんにもいろいろお話をしたんですけれども、民間事業者さんからは賃貸でも活用という意向は示されなかったというところでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 民間事業者のサウンディング何とかというのがありましたよね。その報告書みたいなやつね。それをそのまま、はいそうですかということになるんですか。私が聞いているのは、民間で改修しようが、市で改修しようが、改修費用というのは同じだというふうにして理解しているんですよ、ほぼね。民間でやったほうがちょっと安くなるんですか。市のほうが高くなるんですか。そうではなくて、一緒だとするならば、これが賃貸の場合に高額の改修費用や、事業の採算性は別にしても、高額な改修費用が、となるんでしょうか。むしろ賃貸の場合は平年化、平準化して、そこでリースみたいな形で事業を運営できるんではないでしょうか。単純な発想です。その辺はどうですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 民間に賃貸するという関連のお尋ねですけれども、市として試算をしております1億1,500万円というのは、あくまでも先ほど申し上げましたとおり、外観の保全という部分が主たるものでございますので、結果、賃貸として民間のほうでやる場合には、建物の内部ということで、そこには多額の改修費用がかかるというものでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) それぐらい私も分かります。1億1,000万円でできるわけないんですよ。なぜかというと、内部についてもきちんとやれよということになりますから、もっとお金がかかるんですよ。しかし、民間事業でやろうと市保有でやろうと、その事業は1億1,500万円では収まらないかもしれないけど、ほぼ同一だとするならば、それを貸付けするときには平準化したら、毎年例えば、2億円でできても10年でやったら2,000万円ですよね。まあ10年ということはないにしても。そうすると、どうもこの答弁は納得できないんですよ。そう思いませんか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 繰り返しの民間活用に関わっての再度のお尋ねですけれども、市といたしましては、その活用方針の策定後、サウンディング調査、それから、それ以降も事業に対して興味を示されていた事業者さんにはこの間お話もさせていただきました。ただ、それにしても賃貸でも売却でも、事業を希望する事業者さんがいなかったところでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 結局この間の流れを見てみると、売却取得をしてやる事業者が現れてきたんですよね。それに合わせて市の方針が決められていったのではないかとおっしゃる方もいるんですよ。そうではなくて、フラットで考えたら、民間事業者というのは、改修して例えば2億円なら2億円としても、それは銀行から借入れしますよね、大体がね。自己資金があったとしても。そうすると、それだけのお金がかかると。それよりも賃貸のほうが1年の費用が少なくなるんではないかというふうにして思うんですよ。ですから、この答弁はちょっと理解できないなというふうに思います。 なぜこういうことにこだわるのかというと、後から出てきましたけども、買戻特約が10年──10年間の買戻しを、そしてそれを特約して、今度市民団体がちょっと騒いだら20年になりましたよね。10年とか20年という問題じゃないんですよ。じゃあ、20年以降になったら何をやってもいいということになるんじゃないですか、法律上は。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 再売買予約についてのお尋ねですけれども、今議員のほうからおっしゃられましたように、当初スタート時点は買戻特約ということで、これは市が売却をした際に、その事業者さんが転売だとかということがなされないように、民法に規定される買戻特約というのを設定をして、これは民法上10年間という期間の制約があって、あとは、もしそういう転売だとかをやろうとされた際には、それは市が買い戻すことができるという不動産の登記簿に登記するものでございます。 当初はそれで考えていたんですけども、市民団体の方々から、10年じゃちょっと短いと、より長く市が関与するような手法を考えてほしいというような御要望もございましたので、市としてどういった対応が可能なのか、そこは審査委員会の中でいろいろ協議していただきましたけども、その買戻特約に代わる手法として、再売買予約というのが同じく民法上に規定されているものがございます。これは不動産の売買だとかでも活用されているものなんですが、この再売買予約というのであれば、買戻特約とほぼ似たようなものであるんですけども、例えばこのロシア領事館の活用で例に取りますと、市と事業者が、事業者を決定して売買契約を締結する。所有権を事業者さんに移転するといった際に、再売買の予約というのを仮登記する。また、その事業者さんが例えば転売ですとか、あるいは提案になかった用途に変更するだとかというふうになった場合には市が買戻しをできるということになります。これはそういう形で、あと、買い戻す費用も法律の規定はないんですけども、契約をする中では、売却した価格で買い戻そうというような契約を結ぼうとしております。 そういった中で、年数に定めはないんですけども、顧問弁護士とも相談をさせていただいた中で、買戻特約の10年、その倍の20年程度が妥当ではないかというお話をいただきましたので、その年数も含めて審査委員会で協議をしていただいて、一定期間市が関与する期間を設定したところでございます。 工藤議員のほうからは、それ以降どうするんだというお話がありましたけれども、じゃあ、30年、50年、100年、それがいいのかといいますと、そういうことではないのではないかなと。そこまでになりますと、元の話に帰着をして、市が、じゃあ、売らないで持っておけばいいじゃないかということにもなりますので、私どもとしては、今プロポーザルの手続を進めている中で、繰り返し申し上げてきましたとおり、歴史的・文化的な価値を損なわないような、よりよい提案をしていただく事業者さんを選定して、そしてまた、継続的に事業を実施していただくような、そういう選定をしていくと、そういうことが肝要ではないかなというふうには思ってございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) 思いは分かります。 まず1つ、20年以上になるんですか。今のお話を聞くと、数字としては20年としか聞こえなかったんですよ。再売買予約とかなんとかってありますけど。そこをもう一度お願いします。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 今募集要項の中で記載しておりますのは、再売買の予約で期間は20年間としているもので、それ以降については法的な制約は伴わないものでございます。 以上です。 ◆(工藤篤議員) そこを心配しているんですよ。不動産の売買だけじゃなくて、内部の仕切りとか先ほどの仕切りの問題とか、意匠の問題とかですね、そこをやっぱりきちんとすると。最初きちんとしてもどうなるか分かんないんですよ。民間に渡してしまえば。チェックする人がいないんですよ、20年間は。今のままでいったら。そこを担保するのをどうするんですかということです。 そして、歴史的建造物ですから、100年、200年という長いスパンで考えていかなきゃならないときに、10年や20年だけの保障をして、それでいいということにはならないんじゃないでしょうか。そこを市民団体が一番懸念していることだというふうに思うんですが、それと、もう一つ、財政的に厳しいから市では改修できないというふうにおっしゃっていたような気がするんですが、財政を、何というのかな、見つけるか何とかという検討はされたんですか。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 旧ロシア領事館の保全に関わってのお尋ねですけれども、先ほど申し上げましたように、再売買予約ということでは20年間ということで規定をさせていただきたいと思っておりまして、それ以上については法的な制約がないところでございます。 ただ、先ほども申し上げましたとおり、私どもとしては、よりよい提案をしていただく事業者を選定して、それは経営基盤、あとはその後の事業の実施、収支、そういったこともきちっと審査をさせていただいて、この建物を永続的にというか、継続的にちゃんと保全、活用していただくような事業者さんを選定して、その事業を確実に実施していく、そのことが肝要であるというふうに考えているところでございます。 ◆(工藤篤議員) 思いは分かります。しかし、20年を超したときに、どう手当てするんですか。思いでつながらないんですよ。やっぱり最終的には法的な対応というのは出てくるんですよ。売却しちゃえば手出しできないんですよ。ましてプロポーザルは、コンテ日吉で大変な目に遭ったわけでしょう。民間が未来永劫にそのまま続くなんてことはあり得ないんですよ。そこのリスクをきちんと捉えていく必要があるんじゃないかということなんですよ。 それで、最後に一つ申し上げたいと思います。平成17年度に始まりました西部地区歴史的町並み基金が平成29年度に廃止をしました。そのときに残ったお金が2億8,500万円余りあったんですよ。それが財政調整基金に繰入れをされました。あそこ全体のことを考えたときに、この基金をやっぱりそこに集中してもよかったんではないでしょうかね。 それと、ふるさと納税。市は改修したいんだけども、財政的に厳しいと。そしてここの改修に関わって、ふるさと納税で対応する。大間の問題についてはそういう手法を取りましたよね。それと、クラウドファンディング。こういう手法の中で、民間から市民から国民から、やっぱり支援をいただくと、同時に国に対してのプッシュもしていくと、そういう総合的な考え方が欲しかったなということを提案申し上げて、この件については終わらせてもらいます。 続きまして、コンテ日吉の関係です。 時間もないので端的な部分で質問させてもらいますが、運転免許試験場──免許証を取るところありますよね、更新するところ。あの向かいに石川町のクリニックがあるんですが、その建物の上にベストライフという大きな看板が立っているんですよ。函館市内においてベストライフ、そこの石川町においてベストライフという会社が介護事業をやっているという理解でいいんですか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 石川町のベストライフについてのお尋ねでございますが、ちょっと不確かではありますが、私の認識では、株式会社ベーネ函館が介護事業をやっていると認識しているところであります。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) ハーモニーが、理由は分かりますが、ベーネ函館を立ち上げたんですよね。子会社としてつくったんですよ。それは分かりますか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) ベーネ函館についてのお尋ねでございますが、株式会社ハーモニーがベーネ函館をつくった、あるいはつくらない、それにつきましては、市として把握をしていないところでございます。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) 前回の一般質問でもそのようなことをおっしゃったので、私唖然としてびっくりしたんですよ。言葉も出なかったという感じなんですよ。 令和元年5月22日に市長宛てに株式会社ハーモニー代表取締役早川 拓人さんからですね、当法人の事業を従業員代表で設立した株式会社ベーネ函館に事業承継することにいたしました。これは情報公開制度でもらった資料なんですが、これに部長、判こを押していませんか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) ベーネ函館についてのお尋ねでございますが、株式会社ハーモニーがベーネ函館をつくる。つまり株式会社が別の株式会社をつくるということの定義を、法的な定義を私も正確に認識しているわけではありませんけれども、少なくとも株式会社ハーモニーがどういった意思決定のプロセスで、例えば株主総会を経たのかであるとか、あるいはハーモニーとベーネの資本関係がどうであるかとか、そういったことを我々が調べる立場にないということもありますし、そういった意味で、つくった、つくらないについては把握していないということを申し上げたところでございます。 ◆(工藤篤議員) ごじゃごじゃ言うんでないよって、田舎の言葉ではそういうふうに言わさるんですよ。 いいですか。何回も私言っているでしょうが。ハーモニーがベーネ函館を子会社としてつくったと、あなたは地元の新聞とか読んでいないんですか。そこにちゃんと書いているんですよ。まして、ここの書類に、当法人の事業、つまり株式会社ハーモニーの事業を従業員代表で設立した株式会社ベーネ函館に事業承継することにしたと。このことについて経済界の新聞にこのように書かれています。 「件の(株)ベーネ函館は(株)ハーモニーが破綻直前に同社取締役佐々木千香により19年3月26日新設された。一般的に同一グループと見做される経過だ。約定を果たさない法人取締役が、別の法人を作ればまず疑われるのが当然だ。ただし中核都市として介護福祉事業に権限を持つ函館市の場合、法人名義を変えただけの法人をあっさり事業所指定している。常識が通用しない。コンテ日吉の3法人破綻において問われるポイントは多い。10億円以上の公金が霧消しながら沙汰なしが続く」というような。 見ていませんか、こういう文章。見ましたか。こういうふうに言われて、常識が通じないとかと言われていて、なぜ調べようとしないんですか。株式会社ハーモニーと株式会社ベーネの関係。協定書にも書いてあるでしょう。株式会社ハーモニーが介護事業の収入を得て、まあ、倒産するのは分かっていましたから、それを債権者に弁済しなきゃいけないんですよ。その弁済をしないで、しないほうにしてベーネ函館をつくったんですよ。これは誰が見たってそう思いますよ。 そして、調べるすべがないと言いますが、いいですか、協定書の中に代表法人がいて、そしてその中に各会社があるんですよ。そこで何か変なことがあると思ったら、堂々と調査する権限が市にはあるんですよ。そのことをしないということは、あなたね、不作為ですよ、不作為。 ベストライフの看板がありますよね。見ていないんですね、きっと。私見てびっくりしたんですけれども。ハーモニーがベーネ函館をつくった。ベーネ函館は最初、資本金100万円ですよ。それが1か月かそのぐらいで4,800万円にして、そしてベストライフがその4,800万円を──株を全部買ったんです。ベーネ函館は子会社になったんですよ。そういって、この流れは何回も私お話し申し上げていますよね。つまりあそこはベーネ函館が介護事業をやっているんですよ。ベストライフじゃないんですよ。例えば親会社だとしても、買ってしまったから。しかし、そんなむちゃくちゃなことが介護事業をめぐってやらされているということをですね、あなたは感じませんか。 もう5分しか時間がないので、別な案件にします。 実は部長も御存じだと思いますが、前回の一般質問が終わった9月14日の終わった後に、部長の部下が御挨拶に来たときに私申し上げたんですよ。ハーモニーが経営している──実際は開店休業ですが──サ高住と、それとグループホーム、そこから備品、資材がどこかに運ばれているという情報を得たと。それを確認してほしいと言ったら、慌てて、いや、直接は行けないんだと。管財人に聞いて一緒に行ってくると。そして、返事がなかったので聞いたら、翌週の連休明けの23日に行ったら、やっぱりなかったと。これは大変だということになりました。そうしたら、管財人がどこかに保有しているかもしれない、保管しているかもしれないと言ってから約2か月です。全然音沙汰ありません。勝手に持っていっちゃったんですよ。誰が持っていったか分からないですけど。それも破産管財人が知らない中で、そういうことが行われているんですよ。泥棒ですよ、これ。そのことは報告を受けていますか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 報告を受けているものでございます。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) ございますは分かりました。その後の対処はどうしましたか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) コンテ日吉の中の空いている棟の備品がなくなっているということでございます。 その中の市の補助金が関わる部分は、認知症グループホームが1棟ございます。こちらに開設準備に当たりまして補助金を支出しておりますので、その補助金によって購入したリストの中には、金額に応じて処分制限がかかっているものがございます。これの所在を確認した上で、必要に応じてその補助金の取扱いの対応をしてまいりたいと思っております。 以上でございます。 ◆(工藤篤議員) 本当、部長の答弁は私よく理解できないんですよね。補助金とか補助金でない、そこの単体の補助金でないんですよね。そのほかに水道とか道路を造った、それにも8億円くらいかかっていますけども、総体として事業として税金が使われているんですよ。その中で窃盗みたいなものが、勝手に破産管財人が知らない中で運ばれていると。これは泥棒以外の何でもないでしょう、何物でもないんじゃないですか。そして、そのことは破産管財人に任せているのは分かるけれども、もう2か月もたっているのに、私その間、何回もメールでどうなった、どうなったと言っているんですよ。返事来ないんですよ。そういう状況っていかがなものなんですかということなんですよ。せめて株式会社ハーモニーに、こういうことがあったみたいだけども、どうなっているんだって、ハーモニーに連絡しましたか。 ◎保健福祉部長(大泉潤) 現在ハーモニーが破産手続の途中でございます。そうした中で、ハーモニーの資産については破産管財人が管理をしているところと伺っております。 今話題になっておりますアルバ、コリーナ、ベラルーナ等の中の備品につきましても、それがどこに保管されているのか、あるいは別途処分をされたものなのか、それについては私どもも破産管財人にまず連絡をし、確認していくことが第一義であります。 今御質問のありましたハーモニーに確認をしたのかということでございますが、これにつきましても、例えばハーモニーの代表取締役に我々が何か照会を直接するのではなく、まず破産管財人を通し、必要に応じて、今も代表取締役なのかちょっと分かりませんが、その方と連絡をするというような手順を定めているものでありますから、そのとおり対応しているところであります。 ◆(工藤篤議員) 先ほども言いましたが、2か月たっているんですよ。それを東京に運んだとか、ロシアに運んだというのなら分かりますよ。同じ函館市内で、行くところは大体決まっているんですよ。名前さえ私知っています。どこに運ばれたか。ただ、裏づけ取れていないので言いませんけれども。2か月もたって、それが一歩も進まないということは一体なんですか。破産管財人そのものの資質が問われるということになりますよ、これで言ったら。 そして、ハーモニーの代表者に今も早川さんがなっているかどうか分かりませんがって、今おっしゃいましたけど、そんな無責任なことないんじゃないですか。 ○副議長(道畑克雄) 工藤議員、すみません。時間が来ましたので発言を終了してください。
    ◆(工藤篤議員) はい、分かりました。 これで、質問を終わります。 ○副議長(道畑克雄) これで、工藤 篤議員の質問は終わりました。 ここで、再開予定を午後3時40分として、休憩いたします。          午後 3時07分休憩  ======================          午後 3時40分再開 ○議長(工藤恵美) これより会議を再開いたします。 休憩前の議事を継続し、一般質問を続けます。4番 遠山俊一議員。  (遠山 俊一議員質問席へ着席)(拍手) ◆(遠山俊一議員) 市政クラブの遠山でございます。 最後になりましたけども、大綱1点、縄文遺跡の活用についてお伺いします。 イコモスの現地調査と今後の見通しについてお伺いします。 今年1月、文化庁は縄文遺跡群の世界遺産登録に向けてユネスコに推薦書を提出し、その後の現地調査が行われることとなりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、世界遺産委員会の開催が延期になり、調査員が入国できるのかと危ぶまれる事態になりました。幸い9月にイコモスによる現地調査が行われ、順調にいけば来年夏頃には世界遺産委員会が登録の可否を決めることになります。 イコモスの現地調査についてお聞きします。 入念なリハーサルを行って万全の準備で臨むとの新聞報道がありました。その後、調査の日程も当日の様子も詳しくは発表されていません。どのような内容であったのか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) イコモスの現地調査の内容についてのお尋ねです。 イコモスの現地調査は、9月4日から15日までの12日間にわたり、新型コロナウイルスの感染防止策を講じながらオーストラリア国籍の調査員が4つの道県にまたがる17の構成資産と2つの関連資産の全てを訪れて行われたところであり、函館市内の垣ノ島遺跡と大船遺跡の現地調査は9月12日に実施されました。 調査では、主に遺跡の保全管理の状況や来訪者の受入れ環境のほか、縄文遺跡と地域住民の関わりなどについて確認されましたが、文化庁や世界遺産登録推進本部、市教育委員会からの説明により、調査員の一定の理解は得られたものと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 昨年10月、既に現地調査が終わっている奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の自然遺産が今年の世界遺産委員会で可否が決定されるはずでした。しかし、先ほど言ったとおり、委員会の開催が延び延びになっています。沖縄・奄美が先に進まないことには縄文遺跡群の世界遺産登録に大きく影響を及ぼすことになります。 報道によると、ユネスコは世界遺産委員会の開催日程について話合いを行い、来年6・7月頃に、2021年推薦候補とまとめて審査する案を示したとしています。2年分の審査については、登録の可否について紛糾することが多いと伺っております。今後の審査の状況についてお伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 来年の世界遺産委員会の審査対象についてのお尋ねです。 まず、今年6月に中国福州市で開催予定のユネスコ世界遺産委員会については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から延期となることがユネスコから4月に出されたところであります。このことから、日本政府が北海道・北東北の縄文遺跡群より先に推薦していた奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の登録審査が先送りとなり、次に予定されている縄文遺跡群の審査スケジュールに大きな影響を与えるおそれがあり、教育委員会といたしましてもその動向を注視していたところであります。 その後、11月にユネスコから、来年6月から7月にかけて中国福州市で世界遺産委員会を開催し、今年と来年に予定している2か年分の世界遺産候補を審査することが発表されたところであります。現在のところ文化庁から具体的な情報提供はありませんが、このユネスコの発表から北海道・北東北の縄文遺跡群の審査は来年6月からの世界遺産委員会で実施されることになるものと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 来年2か年分を審査し、縄文遺跡群に関しては6月頃の世界遺産委員会で審査されることになるであろうとの御答弁でした。 いよいよ現実味を帯びてきたわけですが、そこでアクセス道路の整備についてお伺いします。 縄文遺跡群の世界遺産登録により、大船遺跡、垣ノ島遺跡への多くの来訪者が期待されます。函館駅、若松ふ頭、フェリーターミナル、函館空港、新函館北斗駅などから多くの車が道道函館南茅部線に集中することが予想され、国道278号線尾札部バイパスを経由して縄文遺跡に到着します。しかし、この遺跡へ向かう道路は快適に走ることができる環境になく、早急の整備が望まれます。北海道渡島総合開発期成会や函館市と函館市議会は、道路整備の促進について函館開発建設部、北海道開発局、国土交通省などへ要望活動を行っており、その中に国道278号尾札部道路、道道函館南茅部線が含まれています。 国道、道道の整備についてお伺いしますが、直接の所管ではないので分かる範囲で御答弁いただければと思います。 まず、道道函館南茅部線、紅葉山町から川汲町間の整備についてお伺いします。 令和元年度、函館市と函館市議会の要望書には、紅葉山町から川汲町間の現道拡幅、線形改良が具体的に場所まで記載されています。この区間はカーブが多く道幅も狭く、波打っている箇所や継ぎはぎだらけの凸凹の道路です。ここを魚やコンブを積んだ大型トラックが頻繁に行き交います。一方で、地域住民の大切な生活道路でもありますが、120ミリの雨や土砂崩れ、倒木などでしばしば通行止めになります。平成30年2月には2度にわたって雪崩が起き、合わせて7日間通行止めになるほど危険な箇所です。 安全に快適に縄文遺跡に足を運んでもらうためにも、早期の現道の拡幅、線形改良を期待するところですが、改良のめどについてお伺いします。 ◎土木部長(岡村信夫) 道道函館南茅部線の整備のめどについてのお尋ねです。 道道函館南茅部線は、函館市街地と南茅部地区を結ぶ渡島東部の幹線道路として、水産業など地域の経済活動のほか、防災面でも駒ケ岳の噴火災害時の避難路になるなど、極めて重要な役割を担っておりますが、紅葉山町から川汲町までは特にカーブが連続し、急勾配となっている箇所があるなど、市といたしましても、この区間については通行の安全確保を図る上で現道拡幅や線形改良といった改良工事が必要であると認識しております。 このため、市では、これまでも北海道渡島総合開発期成会要望や函館市・函館市議会合同要望などの機会を通じて北海道に対し改良工事について要望してきたところでありますが、工事には至っていないところであります。 今後とも、各種の機会を通じて引き続き北海道に対し要望してまいりたいと考えております。 以上です。 ◆(遠山俊一議員) ありがとうございます。 続いて、一般国道尾札部道路の整備についてお聞きします。 尾札部道路のバイパス14.8キロメートルは、平成元年に工事が始まり、32年も経過していますが、いまだに完成していません。現在は垣ノ島遺跡を含む尾札部-豊崎間11.9キロメートルが供用開始になっていますが、残り豊崎から大船間2.9キロメートルが未整備区間であり、地元の尾札部道路建設促進地域協議会が毎年全線の早期開通に向けて要望活動を行っています。 この先に大船遺跡があります。現在は大船側に架かる橋の工事が行われているようですが、国土交通省は7月、尾札部道路の未改良区間の工事費として北海道特定特別総合開発事業推進費4億円の予算配分を行いましたが、工事の進捗状況についてお伺いします。 ◎土木部長(岡村信夫) 尾札部道路の進捗状況についてのお尋ねですが、尾札部道路につきましては、尾札部町から大船町までを結ぶ全長14.8キロメートルの南茅部地区の幹線道路として国が整備を進めており、平成23年度には、尾札部町から豊崎町までの11.9キロメートルが開通となり、残る豊崎町から大船町までの2.9キロメートル区間について現在整備中であります。 この区間については、昨年度までに大船大橋の工事を主体に行ってきたところであり、橋台1基と橋脚2基が完成しております。 今年度につきましては、当初予算の1億8,500万円により、残る1基の橋台の工事を進めているとともに、新たに橋桁の製作や架設の工事にも着手し、さらに7月にはいわゆる北海道特特推進費といたしまして4億円の予算が配分されたことにより、大船大橋以外の道路本体の築造について一層推進が図られているところでございます。 以上です。 ◆(遠山俊一議員) バイパス工事は着々と進んでいるようですが、道道の整備は難しく、今後の粘り強い要望活動をよろしくお願いしたいと思います。 大船遺跡までの供用開始についてお伺いします。 このバイパスの延伸により、大船遺跡へのアクセスが格段によくなります。全線開通は無理としても、世界遺産登録までにせめて大船遺跡まで部分的な暫定供用開始ができないものか、見通しをお聞きしたいと思います。 ◎土木部長(岡村信夫) 世界遺産登録までの部分供用の見通しについてのお尋ねです。 尾札部道路につきましては、豊崎町から大船町までの2.9キロメートル区間について、国では早期開通に向けて鋭意整備を進めており、このうち豊崎町から大船遺跡までの約500メートル区間においては優先的に工事を行っているところであります。 今後、国と協力しながらこの区間の部分供用が可能かどうかについて協議を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 豊崎町から大船遺跡まで優先的に工事を行っているということで、この区間の部分供用に期待を寄せるところであります。 もしもバイパスの延伸が世界遺産登録までに間に合わないとなると、大船遺跡へのアクセス道路は道路沿いの国道278号線から狭い道を登っていくことになります。この道路は大きなカーブになっていて、車がやっと交差できるほどで、途中にお寺や民家、コンブの作業場もあります。10月に都市建設部が行った遺跡の緩衝地帯の景観保全に係る説明会において、地元の住民から世界遺産の登録によって観光客が殺到し、この道路が渋滞してコンブ作業をはじめとした日常生活に支障が出るのではと心配する声が上がっていました。大船遺跡の駐車場は十分な広さはなく、渋滞が予想されます。何らかの対策が必要と思うが、どのように考えているか、お伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 大船遺跡へのアクセス道路についてのお尋ねです。 大船遺跡へのアクセスにつきましては、海岸沿いの国道278号から市道大船高台1号線を利用することとなりますが、当該ルートは道幅も狭く急勾配であるほか、近隣住民の生活道路でありますことから、渋滞が発生した場合には来訪者だけでなく、地域住民に対しても迷惑をおかけすることになるものと認識をしております。 このため、混雑が予想される、例えば世界文化遺産登録後の週末や夏休みの期間に、市道に複数の交通誘導員を配置することなど、渋滞の防止につながる対策について検討をしているところでございます。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 7月に入りますとコンブ作業も最盛期を迎えて、漁業者には週末も夏休みも関係なく作業が続けられます。日常生活に支障が出ないよう、地域の実情を十分に踏まえた対策をしていただきたいと思います。 次に、臨港道路の整備についてお伺いします。 皆さんのところに資料1が行っていると思います。御覧ください。 臨港道路の説明をします。上の港、これが臼尻漁港です。ここに南かやべ漁業協同組合の本所もあります。ずっと下に来まして、このバイパス沿いに右下に白い建物があります。これが縄文文化交流センターで、この大きなS字型が臨港道路です。この臨港道路の整備についてお伺いします。 この臨港道路は臼尻漁港の周辺道路の混雑を解消させ、水産物輸送の効率化を図るために平成14年に事業化された臼尻地区直轄特定漁港漁場整備事業の一環で、臼尻漁港から国道278号線の上を立体交差し、縄文文化交流センターの横のバイパスに接続します。この道路は順調にいけば令和2年に完成したはずですが、いまだに着工すらなっていません。今後の見通しについて伺いたいと思います。 ◎農林水産部長(川村真一) 臼尻漁港臨港道路のお尋ねでございます。 臼尻漁港臨港道路の整備につきましては、平成21年度に水産庁から事業計画が認可されたため、事業主体であります北海道開発局が、その翌年度から本格的な用地測量や物件調査に着手したところであり、その後、公安委員会との交差点協議を経て道路のルートがおおむね確定したことから、平成25年度から用地及び物件の補償交渉を開始し、翌平成26年度からは交渉が完了した用地から順次埋蔵文化財調査を行ってきたところであります。 本事業につきましては、遠山議員御指摘のとおり、北海道開発局が令和2年度の完成を目標に事業を進めてまいりましたが、用地及び物件の補償交渉が難航したことから、本工事に着手できずに現在に至っているところでございます。 今後の見通しといたしましては、本年度中に用地及び物件の補償交渉が完了する見通しでありますことから、来年度から本工事に着手し、令和7年度の完成を見込んでいるところであります。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 令和7年度に完成予定との御答弁でした。 大船遺跡から15分ほどのところに鹿部町の道の駅があります。縄文遺跡を見学した後、鹿部町道の駅で食事、買物というパターンを想定したときに、高台と下のまちのアクセス道路である臨港道路の早期完成を望まずにはいられません。 縄文文化交流センターのある高台にはゆっくりとくつろげる場所はなく、下のまちに誘導することで、ここに食堂や喫茶店、コンビニなどが点在し、地域経済の活性化にもつながります。また、道の駅と漁港をつなぐ臨港道路の完成により、将来的に海を生かした観光振興が期待されます。 一方で、南茅部地域は漁業のまちで、地元の方を対象にした内向きの商業活動を行ってきたことで、世界遺産登録で多くの方の来訪があったときの心積もりや施設の整備などが遅れていると思います。来訪者の受入れ体制の充実のため、地域を挙げての取組が必要と思うが、どのように考えているか、お伺いします。 ◎南茅部支所長(松浦眞人) 世界遺産登録後の来訪者の受入れ体制についてのお尋ねです。 南茅部地域におきましては、世界遺産登録後を見据えた地域振興などについて、地域の方々と行政が一丸となって取り組むことを目的に、南かやべ漁業協同組合や函館東商工会などとの意見交換の場として昨年末に縄文を活かした地域づくり懇談会を発足したところであります。この間、支所ではツイッターを開設し、地域の様々な話題を外部に発信しているほか、飲食店の方々も新たに縄文に関連したメニューを提供するなど、観光等で訪れる方を意識した取組も見え始めているところです。 また、先般行った懇談会では、道の駅での定期的なイベントの開催や温泉と食事をセットにしたプランの提供など、来訪者を少しでも長く滞留させ、地域の活性化につなげるための取組に対する意見のほか、臨港道路整備後の漁業と観光の連携といった将来的な課題についても活発な意見交換が行われたところであり、今後も地域の方々と行政が連携した中で様々な取組を実践していくことにより、来訪者の受入れ体制を整えてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 積極的な取組に関しては高く評価したいと思います。 日常的に縄文に接してきたこの地域の特性なのか、縄文遺跡に多くの方が訪れることに実感がないのかもしれません。支所が取り組んでいる経済の活性化はもとよりですが、コロナ禍で活動の自粛を余儀なくされることもあろうかと思いますが、地域住民に縄文の価値の再認識を促す取組も併せてお願いしたいと思います。 次に、世界遺産登録後の取組と課題についてお伺いします。 10月に教育委員会から縄文遺跡群の世界文化遺産登録による効果促進施策のあり方が示され、今後の取組の全体像がやっと見えてきました。縄文遺跡の世界遺産登録により函館市の活性化がどのように図られるのか、市民に縄文文化に対する意識の変化をどのようにもたらすのか期待するところですが、作成された目的やその内容についてお伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 効果促進施策のあり方についてのお尋ねです。 北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産への登録が目前に迫る中、教育委員会では縄文文化に対する市民の意識を醸成すること、来訪者の誘致促進と受入れ体制の強化を図ること、市民や企業・民間団体等との連携・協働を深めることなどにより世界文化遺産登録による効果を最大化することを目的に、本年10月に縄文遺跡群の世界文化遺産登録による効果促進施策のあり方を策定したところでございます。 内容といたしましては、2024年度までの5年間を目途に、資産の価値の伝達と情報発信、来訪者受入体制の整備・強化、地域社会との連携による保存・活用の推進の3つを施策の基本的な方向性として各種取組を進めることとしております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 世界遺産登録が現実味を帯びてきたことで、公的な団体、民間団体の活動が活発化してきました。この民意の盛り上がりは大いに歓迎すべきことと感じています。 平成30年の総務常任委員会行政調査報告書に、今後の取組の課題として、それぞれが個々に活動をしている部分も見受けられると指摘しています。効果促進施策のあり方には、その目的を達成するために、さきの団体も含まれるのでしょうが、実施・連携・協力が想定される対応機関として、国、道、道南歴史文化振興財団、観光部、土木部、経済部など各部局、企業、民間団体、高等教育機関、構成自治体などを想定しています。これらの企業、市民団体、経済団体、行政機関、学術機関など、多岐にわたる関係団体とどのような連携を図り事業を行っていく考えか、お伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 関係団体と連携した施策の進め方についてのお尋ねです。 世界文化遺産登録による効果促進施策は、教育委員会にとどまることなく、多様な関係団体などと取り組むことにより、よりよく目標を達成することができますことから、観光部、経済部などの庁内各部局と役割分担をするとともに、文化庁や北海道など行政機関との連携強化を図り、地域の経済団体や市民団体、企業、市民と相互に連携・協働しながら取組を進めることが必要であると考えております。 また、これまでも関係団体等と連携しながら取り組んできたところであり、先月には渡島総合振興局と経済団体が母体となっている道南縄文文化推進協議会と来年度事業に向けた意見交換を行ったところであります。 今後におきましても、引き続き情報交換や情報共有を図るとともに、連携・協働により様々な取組を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 大変膨大な仕事量になると思われますが、効率的な作業をするためには情報の共有は欠かすことができないものと思います。スピード感を持った取組を期待します。 次に、駐車場の整備についてお伺いします。 以前一般質問で、世界文化遺産登録が実現したときの函館市における経済波及効果、観光客の増加見込みを質問したことがありました。構成資産が17か所と多いことから推計は難しいとの御答弁でしたが、このたびの効果促進施策のあり方では、入り込み数をどのように推計しているか、お伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 来場者推計についてのお尋ねです。 このたびの来場者推計は、複数の構成資産を有する日本国内の世界遺産のうち登録前の来場者数や市街地からの距離が本市の2つの遺跡と類似する資産である明治日本の産業革命遺産の三重津海軍所跡──これは佐賀市でございます──と、三池炭鉱万田坑──荒尾市にございます──これを参考に推計をしたものでございます。 推計では、各施設の来場者は直近の実績であります2019年度の3.2倍と試算し、縄文文化交流センターが6万4,000人、史跡垣ノ島遺跡が15万2,000人、これらを含めた道の駅利用者が30万4,000人、史跡大船遺跡は3万1,000人となっております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) ただいまの御答弁によりますと、初年度の縄文文化交流センター、垣ノ島遺跡、道の駅への来訪者は延べ人数で約30万人になり、この3つの施設の利用者は基本的に同じ駐車場を利用することになります。 昨年12月の議会で、縄文文化交流センター向かいの土地を取得して駐車場として整備してはどうかと質問しました。答弁は、100台程度駐車可能な臨時の駐車場を保有している。駐車場の整備には多額の費用が必要なので、なかなか難しいとのことでした。この100台程度駐車可能な臨時の駐車場は現在どのようになっているか、お伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 縄文文化交流センターの臨時駐車場として使用していた民有地についてのでお尋ねです。 昨年度まで遺跡見学会やイベントの際には縄文文化交流センター向かい側にある民有地を臨時駐車場として使用していたところでありますが、当該用地につきましては、現在工事業者が建設資材等の置場として利用するため、2021年度まで賃借をしていると伺っております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 縄文文化交流センターのオープン時には、この臨時の駐車場に駐車し切れず、バイパスに1キロメートルほどの車列ができました。また、当時商工会の行ったイベント、縄文まつりでも同じようなことが起きて、警察から注意を受けています。それらのことを勘案しながら新たな駐車場の整備を訴えてきたわけですが、今回この100台分の駐車場が使えなくなっているとの御答弁でした。 縄文文化交流センターがオープンしてから9年が経過しますが、この間ずっとこの土地を駐車場として借りていたと思います。この駐車場が使用できないとなると、世界遺産登録を控えて周辺は大変な混雑が起き、交通パニックさえ想定されます。契約が交わされていたなら、ほかに貸すことはなかったと思いますが、どのような借り方をしていたのか、お伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 臨時駐車場用地の借用についてのお尋ねです。 当該用地の使用に当たり、教育委員会では継続的に使用したいと考えていたことから、所有者に対し覚書や契約の締結をお願いしておりましたが、契約等は希望されないとのことでしたので、口頭により承諾をいただき、御厚意により無償で利用させていただいたところでございます。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 教育委員会としては想定外のことだったのでしょうが、口約束程度であったならばあまりにもずさんであったと言わざるを得ません。 来訪者のピークに備え、代替の駐車場を確保しなければならないと思いますが、どのような対策が取られているのか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 来場者の増加に伴う駐車場の確保についてのお尋ねです。 2021年度の縄文文化交流センター及び史跡垣ノ島遺跡への来場者を含めた道の駅利用者の推計は約30万人となっており、混雑のピーク時には普通車で約150台分の駐車スペースが必要であると試算をしております。一方、縄文文化交流センターの駐車場は、普通車35台分であり、大きく不足することが予測されますことから、例えば近隣の市有地に臨時駐車場を確保し、シャトルバスを運行することなど、来場者対応について検討しているところであります。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 円滑なシャトルバスの運行を期待します。 臨時の駐車場を確保したという御答弁でしたが、あくまでも臨時的な措置と考えているのか。また、来訪者の利便性を考えたときに、近くに十分なスペースの駐車場の整備が望まれますが、今後の駐車場の整備をどのように考えているのか、お伺いします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 縄文文化交流センター駐車場の整備についてのお尋ねです。 近隣の市有地を活用した臨時駐車場は臨時的な措置として検討しているところでございます。 なお、2022年度以降につきましても、世界遺産登録後における駐車場の利用状況を検証しながら駐車場の混雑緩和について必要な対応を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 専用の駐車場がない世界遺産が誕生するわけで、必要な対応を検討してまいりますでは危機感も切迫感も感じられないと感じております。既に候補地が上がっていなければならないのだと思います。借りることができなくなった民間の土地と、さきに一般質問で提案した交流センター向かいの土地を購入し、駐車場として整備することを期待いたします。 次に、観光資源としての縄文について質問いたします。 縄文遺跡群の世界遺産登録に関しては、教育委員会が所管していることもあり、これまで何度か質問してきましたが、主に教育委員会から御答弁をいただいていました。世界遺産登録が実現しようとしている今、世界遺産を有する自治体の市長としてどのような思いなのか、質問いたします。 教育委員会の効果促進施策のあり方に記載されているように、今後は世界遺産登録となった縄文遺跡を活用し、産業の活性化、観光振興に結びつけていくという新たな段階に入ってきたと思われます。世界遺産登録は、函館市が世界に認められ、函館市を売り込む絶好のチャンスを得たことになります。市長は、世界遺産になるであろう縄文遺跡の価値をどのように認識し、また、その効果を最大限に生かすためにどのような取組を考えているか、お伺いします。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 縄文遺跡の価値に対する認識や効果を生かす取組についてのお尋ねでございます。 縄文遺跡の価値につきましては、狩猟、漁労、採集をなりわいとしながら定住生活をし、1万年以上もの長期にわたり持続可能な社会を実現した人類史上極めてまれな文化であることに加え、土器の製作などにより多様な食料資源を安定的に確保したほか、大規模な儀礼の場の存在や数多くの土偶など祈りの道具が出土されており、優れた技術だけではなく豊かな精神文化を持った成熟した社会であったと考えられますことから、世界的にもその価値が認められているものと認識をしております。 今後、縄文遺跡群が世界文化遺産に登録された場合、本市の魅力がさらに高まることとなり、国内外から多くの観光客が訪れるものと期待しているところでありまして、陸・海・空の交通の要衝であるといった本市の優位性も最大限に生かしながら観光を中心に幅広い産業の活性化につながるよう、様々な取組を進めてまいりたいと考えております。 以上です。 ◆(遠山俊一議員) 函館市には、観光資源の掘り起こし、観光の産業化、観光文化のまちづくりをコンセプトにした観光基本計画に基づいて施策を展開してきた観光部があります。昨年12月に質問したときには、アメリカ人の有識者に現地を視察してもらい、それらを参考にプロモーション、周遊観光コースの提案、体験メニューの創設など受入れ環境の整備に取り組むという方針を答弁されておりました。作業の進捗状況と、今後、世界遺産を生かした観光振興をどのように進めていく考えか、お伺いします。 ◎観光部長(柳谷瑞恵) 縄文遺跡を活用したインバウンドの受入れ環境整備の進捗状況と今後の観光振興についてのお尋ねです。 本市では、北海道・北東北の縄文遺跡群の構成資産である大船遺跡と垣ノ島遺跡の観光客の受入れ環境を整備するため、昨年度海外の旅行会社へのアンケート調査やアメリカ人の有識者による現地視察によりいただいた御意見等を参考としながら、土器づくりや火起こし体験のほか、観光バスやタクシーなどで縄文遺跡を巡るツアーなど、縄文文化体験をしていただくコンテンツを造成、商品化し、海外のOTAとの連携販売を実施したところでございます。 また、世界遺産登録が実現いたしますと、両遺跡を訪れる外国人観光客の増加が見込まれ、通訳ガイドの不足が懸念されますことから、本年7月に縄文文化通訳ガイド人材バンクを創設し、これまで29名の御登録をいただいたところであり、先月登録者をはじめ縄文文化ガイドに興味のある方などを対象にガイドレベルの向上を図るための研修会を開催したところでございます。 今後におきましても、縄文の魅力を余すことなく伝えることのできる質の高い通訳ガイドの確保・育成に努めるとともに、国や北海道と連携しながら近隣自治体との広域連携による周遊コースを造成するほか、インフルエンサーによる情報発信など、世界遺産を活用した幅広い取組を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 先ほど企画部長から、陸・海・空の交通網の優位性を生かしながら、観光を中心に函館市の幅広い産業の活性化につながる取組を進めるとの決意を示していただきました。 観光部長からは、具体的に海外のOTAとの連携販売、通訳ガイド人材バンクの創設、広域連携による周遊コースの造成、インフルエンサーを活用しての取組など答弁をいただきました。 企画部長の先を見据えた決意と観光部長のスピード感のある取組に大きな可能性を感じております。そのことを心にとどめながら、次の質問に移ります。 2019年4月に文化財保護法の改正が行われました。文化財継承の担い手の確保、文化財を社会全体で支えていくことができる体制の整備、保存優先から観光資源として積極的に生かすことで地方創生、地域振興につながる有効な手段としています。法改正により教育委員会の所管とされてきた文化財保護を文化財行政強化のために首長部局へ移管することが可能になりました。函館市においてはこれまでも文化財は観光資源として生かされ、文化財課が担ってきたものと思います。それによって、函館市には市長部局と教育委員会に観光を担う部署が2つ存在することになります。新たに観光資源として加わる世界遺産縄文遺跡を生かした地域づくりを行うために、観光部と文化財課の連携の重要度が増すものと考えられます。これを機に、予算や人的配置に関する枠の大きさ、長年培ってきた観光のノウハウを最大限に発揮するためにも、文化財に関する業務も含めて一元的に観光部が担う機構改革ができないのか、お伺いします。 ◎観光部長(柳谷瑞恵) 一元的に観光振興に取り組むことについてのお尋ねです。 大船遺跡及び垣ノ島遺跡については、本市の主要な観光資源の一つと認識しており、これまで市の公式観光情報サイトはこぶらや観光パンフレットなどで紹介・PRを行ってきたほか、函館市縄文遺跡群保存活用協議会において、教育委員会とともに事務局として、関係部局はもとより関係団体、経済界、地域住民などとの協働により縄文遺跡群の保存活用に向け協議を進めてきたところであります。 世界遺産登録が実現した際には、縄文遺跡を活用した観光振興について先般取りまとめた効果促進施策のあり方に基づき、教育委員会はじめ関係部局や関係団体等との連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 質問と全くかみ合わない答弁をいただきました。 2つの世界遺産を有し、年間690万人の観光客が訪れる長崎では、2008年から文化財の保護に関する事務を首長部局の職員が補助執行する文化観光部があり、函館市でいえば観光部と文化財課が一つになったような部局で、世界遺産室、文化財課、観光政策課、観光推進課などで組織されています。首長部局へ文化財事務を移している自治体は、政令都市で半数を超えているといいますが、今回の法改正はその流れを法的に確立したもので、観光都市函館のさらなる飛躍のために、ぜひとも協議をしていただきたいと思います。 次に、著保内野遺跡の活用についてお聞きします。お手元に資料2があると思います。 教育委員会は、盗掘の危険性を感じて、著保内野遺跡をあまりPRしてこなかったというふうな話があります。ここに著保内野遺跡の位置を示しております。これは、南茅部の遺跡の分布図ですが、海岸線上から、四角で囲んであります史跡大船遺跡、その下に史跡垣ノ島遺跡、その下に著保内野遺跡、この著保内野遺跡の近くに磨光小学校やふるさと文化公園があります。 それでは、著保内野遺跡の活用についてお伺いします。 縄文遺跡群の世界遺産登録へ向けての取組に、シンボル的存在として国宝中空土偶が大活躍しています。しかし、この中空土偶の出土した著保内野遺跡は影が薄く、このままでは忘れ去られてしまうのではないかと心配しております。 著保内野遺跡ってどこにあるんですか、中空土偶は垣ノ島から出たんですか、国宝になるんですかなどの声があります。遺跡の位置づけが明確になされていないからだと思われます。現在著保内野遺跡の管理はどのように行われているのか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 著保内野遺跡の管理についてのお尋ねです。 著保内野遺跡については、1975年8月に、後に国宝となる中空土偶が発見されたことを契機に、同年文化財保護法に規定されている周知の埋蔵文化財包蔵地に登録をされており、土木工事等を行う際には教育委員会に届出が必要となるなど教育委員会が埋蔵文化財の保護を行っているところであります。 また、遺跡内の土地の所有者は複数おりますが、多くは民間の方で、それぞれが畑や山林として使用しており、遺跡は良好に保存されているものと認識をしております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 答弁のように、民間の判断に任せられた管理が行われていて、いわゆるあるがままの状態だと思います。平成27年12月の定例会で著保内野遺跡の公有化について一般質問しています。そのときの答弁は、著保内野遺跡を公有化するためには国の史跡指定を受けて国庫補助金によって公有化を図っていく、将来的な史跡指定の可能性などについて文化庁と相談してまいりたいと答弁しています。その後どのような相談がなされたのか、お聞きします。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 著保内野遺跡の公有化についてのお尋ねです。 著保内野遺跡は、これまでの発掘調査において遺跡の重要性は確認されておりますが、国の史跡の指定を受け、国の補助を活用しながら遺跡内の土地を公有化するためには、さらに発掘調査などの各種調査を実施して遺跡の範囲や継続時期などを特定することが必要となります。そのためには多くの経費や期間を要しますので、公有化については慎重に検討することが必要なものと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 文化庁と相談した形跡もうかがえませんし、ここからさらに検討を続けるものと理解いたしました。 過去に南茅部地域審議会の委員をしていたことがありました。何人かの委員から著保内野遺跡の保存・活用の質問がありましたが、そのときの答弁です。平成22年3月、地域振興につなげていくことが望ましいと考えている。平成24年12月、この遺跡の保存を検討する意義は大きい。平成27年3月、この土地を確保したいという気持ちはありますが、予算的なこともありますので……、まだありますが、要約すると、このように歯切れの悪い答弁の繰り返しでした。 平成24年12月、当面は世界遺産登録の推進に取り組まなければならない状況にあり、一定のめどが立った段階で検討してまいりたいと答えています。世界遺産登録の可能性が大きくなり、一定のめどがたった今、国宝中空土偶が出土した著保内野遺跡の周知と保存・活用の方向性をしっかりと示していただきたいと思います。 ◎教育委員会生涯学習部長(堀田三千代) 著保内野遺跡の周知・広報などについてのお尋ねです。 著保内野遺跡については、大部分が民有地であることなどから、これまで標柱等による遺跡の表示や所在地の案内などの積極的な広報はしてこなかったところであります。しかしながら、世界遺産登録となった際には、本市の縄文遺跡に対する関心が高まり、国宝が出土した著保内野遺跡についての問合せも増加することが考えられますことから、どのような形で周知・広報できるのか、土地の所有者や地域住民の方からよくお話を聞くなどして検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(遠山俊一議員) 今まで取り組んでこなかったので、どのように周知・広報できるのか、検討するとの御答弁でした。今度こそ実効性のある検討であることを期待します。 著保内野遺跡に半ば隣接してふるさと文化公園があります。野外ステージ、バーベキューハウス3棟、多目的広場、散策路、トイレ、駐車場などが整備されています。著保内野遺跡の周知の在り方を検討するのであれば、この公園の名前を著保内野遺跡公園とすることを提案いたします。 最後に、縄文の精神性とSDGsについてお伺いします。 2015年9月の国連持続可能な開発サミットで、2030年までに先進国と開発途上国が誰一人取り残さないを基本理念に、経済・社会・環境に統合的に取り組み、幅広い課題の解決を目指す17の目標を掲げて、持続可能な開発目標SDGsを採択しました。 今世界は持続可能な社会とうたわなければならないほど危機的な状況にありますが、私たちが住むこの地に1万年以上持続した縄文社会があり、その遺跡が世界遺産に登録されようとしています。順調に進めば、日本の遺跡の25番目の登録になると思われますが、その中でもSDGsの理念にこれほど合致した世界遺産はないのではないかと思います。函館市がSDGsの理念を踏まえてどのような取組を行っているか、お聞きします。 ◎企画部長(湯浅隆幸) SDGsの市の取組についてのお尋ねです。 国が平成28年に策定をいたしました持続可能な開発目標実施指針におきましては、地方自治体における各種計画や方針の策定並びに改訂に当たっては、SDGsの要素を最大限反映することが奨励されておりまして、市といたしましても昨年8月、各種計画や方針等の策定・改訂時において、17分野の目標との関連性や考え方を明確にするなど、SDGsの視点を反映させるためのガイドラインを作成したところであります。その後、当ガイドラインを踏まえまして、第2期函館市活性化総合戦略や環境基本計画、子ども・子育て支援事業計画などについては、SDGsの視点を取り入れ策定しているところであり、今後におきましても、SDGsの視点を踏まえた計画等の策定や取組を進めてまいりたいと考えております。 以上です。 ◆(遠山俊一議員) 縄文の社会は自然の再生力に合わせた狩猟、採集、漁労活動により調和の取れた経済活動を行い、幼少期にポリオにかかった子供を成人するまで世話をし、争い事で傷ついた遺骨が極めて少ない、慈愛に満ちた平和な社会をつくり、全てのものに神が宿り、食料はもとより不要になったものは全て神に返した、盛土遺構に見られる環境への配慮、SDGsが目指す経済・社会・環境に統合的に取り組み、幅広い課題の解決を目指す社会とはまさにこの縄文の精神性にあるのだと思います。 函館市総合計画を策定しているが、SDGsとの関連性はどのようになっているか、また、計画の中で縄文遺跡の世界遺産登録についてどのように位置づけているか、お伺いします。 ◎企画部長(湯浅隆幸) 市の総合計画とSDGsとの関連性についてのお尋ねでございます。 現在の函館市総合計画は、2017年度から10年間を計画期間といたしまして、まちづくりを進めるための指針となる基本構想と優先的・重点的に取り組む具体的な事業等を取りまとめました実施計画で構成されておりますが、この総合計画で掲げる5つの基本目標と20の施策はSDGsの目指す目標とその方向性を同じくするものであり、本計画の推進がSDGsの実現に資するものと考えております。 なお、縄文遺跡群の世界文化遺産登録につきましては、本計画の施策の一つである文化・芸術の振興と歴史の継承において、歴史・文化遺産の保存・活用・継承に関する主要事業の一つとして位置づけ、その登録に向けた取組を推進することとしているところでありまして、SDGsの理念と、長期にわたり持続可能な社会を実現してきたという縄文文化の精神性に相通ずるものがある中、縄文遺跡群の世界文化遺産登録は本市のSDGsの推進においても意義のあるものと考えております。 以上です。 ◆(遠山俊一議員) 函館市総合計画とSDGsの関連性や縄文遺跡の位置づけについては理解いたしました。 総合計画の推進に当たっては、国連で採択されたSDGsへの取組とユネスコが認めた縄文遺跡の普遍的価値を融合させることで国際社会に強力なメッセージを発信することができると思います。よって、コロナ禍で落ち込みの著しい観光客の底上げ、特にインバウンドの獲得に効果を発揮し、国際観光都市として一層の飛躍が期待されます。 一方で、市民は縄文遺跡の世界遺産登録を誇りに思い、その精神性に触れたときに、さらなるアイデンティティの醸成に結びつくものと確信いたします。世界遺産登録を契機に、観光のみならず幅広い産業の活性化につなげていくなど、市民と一体となった取組を積極的に行うことを強く望み、質問を終わります。 ありがとうございました。 ○議長(工藤恵美) これで、遠山 俊一議員の一般質問は終わりました。 以上で本日の日程は全て終了いたしました。 次の本会議は、明12月10日午前10時から開きますので、御参集願います。 本日はこれをもちまして散会いたします。 お疲れさまでした。          午後 4時39分散会...